markdadaoの日記

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JTM45コンボアンプの一次側インピーダンスについて

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上記の写真は、クラプトンが所有したマーシャル・コンボアンプに搭載されていた とされる、当時の既成品アウトプットトランスのカタログです。

アンプビルダーのA君から、真空管ギターアンプ用の出力トランスの一次側インピーダンスについてのコメントを記します。

 

 10年以上前に、ギターアンプ自作派の間で評判が良かったトランス(マーシャ ルJTM45用)を見つけ、アテネ電機株式会社で解析してもらいました。現物の1次インピーダンスは実質6 or 8kΩでした。それを基にAGOT-04が生まれ、その後さらに いくつかのバージョンが揃いました。当時、1次イ ンピーダンスをもっと小さくとらないと出力面では不利だと、 何度か指摘されましたが、目指すものが初期のマーシャルなので同じものをと、製作のお願いをしました。

さて、クラプトンが1966年レコーディングに加わったアルバム ”BLUES BREAKERS JOHN MAYALL WITH ERIC CLAPTON”をお聴きになったことはありますか?これこそ世界中の ギター小僧が求めていたギターサウンドなのです。この時、クラプトンは1959年レスポールを、マーシャルから発表されて間も ないコンボアンプに繋いでプレイしました。このアンプこそ、後に アルバムタイトル「BRUES BREAKER」の名で伝説の名機として語り継がれているものなのです。

どんなアンプかといえば、JTM45のコンボバージョンでスピーカーはセレッ ション12インチSP16Ωの2発パラレルです。コンボタイプ を開発した背景は、おそらくVOX・AC30やFENDER・59 BASSMANN等に対抗して開発されたものだと思います。これらの中で最も価格が安く設定されたことで、当時の若いロックギタリスト達には受 けたようです。(JTM45と12インチ4発のスピーカーキャビネットのセットでは、クラプトンは自分の車に乗らないので、トランクに収まる このコンボが気に入ったとされていますが。まあこの手の話の真意 はわかりませんが・・・)

本題ですが、当時のJTM45及びそのコンボアンプに搭載されて いたのが、カタログ写真の一番上にある”DE LUXE”というアウトプットトランスです。これはRadios pares から汎用品として売られていたトランスです。沢山のタップを出し 、いろいろな出力管に対応できる多目的なものですね。 主な仕様は・・・

1次側 ・6.6kΩ CT 43%ULタップ付き

     8kΩ CT

                  9kΩ CT 

2次側 ・3-7-15Ω

6.6kΩではEL34、KT66用がとれるような 表記です。

このような歴史的背景により、私を含めアマチュアビルダー達は出 力面では不利と知りつつ、6.6Kや8KΩのアウトプットにこだわる のです。(当然、当時のマーシャルトーンを再現しようとする目的のためですが )

ところで、このトランスのレプリカは、昔からアメリカのマーキュリーより販売されていました。もちろん、私も購入し試しました。いろいろなトランス と共に音比べをしましたが、残念ながら特別に感動するようなトーン は、正直感じられませんでした。

出力トランス選びのポイントは、1次インピーダンスが出力管に対して小さすぎれば問題は起きまが、逆に大きければ問題がないので、いくつか試して 好みのトーンを見つけるというのもアリです。