以前納品した300W用の、今年のバージョンアップ版のベース用真空管アンプに使用する電源トランスと出力トランスを、京浜島にあるF.A.T.事業部へ納品をしてきました。
上記写真のヘッドは昨年バージョンのものですが、今回スピーカーボックスとヘッドの箱も見せてもらいました。箱はヘビ皮と黒色の2つが用意されていました。
実は、300Wをフルで出した場合、スピーカーが飛んでしまうのではという心配があったのですが、昨今はスピーカーの品質技術が高まりその心配はないそうです。実際プレイヤーは余裕をもたせたところで、音を出しているとのこと。
F.A.T.事業部はBeing社のプレイヤーが使用するエフェクターやアンプを、永田さんとサポートの方が製作されているようで、倉庫はライブが終わり機材が満載でした。
おこがましい話ですが、私にとってギター・ベース用真空管アンプに使用する電源トランスや出力トランスは単なる電子部品ではなく、「楽器の一部」と考えています。電源トランスは真空管に供給するB電源等の電圧や電流を考え、出力トランスの製造方法を工夫することで、プレーヤーの表現のお手伝いをすることを考慮し製作します。時々ユーザーの工房を訪れるのは、ファクトリーアウト(良いものを作っているのだから)に陥りやすいメーカーの思考を、少しでもマーケットインとしてお客様の要望や感想を参考にものづくりしたいからです。
最近はギタープレイヤーの希望である「中域伸ばし」のための巻線仕様に変更をしています。これはベースのフレーズやドラムのベードラと音をかぶるのを避けることと、リードをとった時のキレを際立たせることと考えられます。
ちなみに今年のバーションの出力トランスは、1次が1.8KΩでULタップを除き、2次は4-8-16Ωとしてます。電源トランスはB電源回路を700Vのセンタータップで1A、ヒーター電流は7.5Aを確保してます。重量は電源トランスと出力トランス合計で15Kg以上になるので、アンプヘッドは2人がかりでスピーカーボックスへ載せるそうです。
このアンプを誰が使うかを知ったのですが、公表できないことになっているの、後でいろいろな音楽シーンで個人的に音を確認してみます。今回は、あわせてギターアンプ用の電源トランスと出力トランスも納品したのですが、これもプレーヤー名はシークレットとのこと。
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