未来を予測すると言うことは、過去と現在への観察眼と情報、そして因果関係を解く見識がないと「当たるも八卦」と同じになってしまう。そこでこの書籍の著者はそれなりの経歴の持ち主のため、関心があった。
「はじめに」でEV車での時の人イーロン・マスクが、世界中でインターネットアクセスを可能にするため、4万2千基の人工衛星を飛ばす計画だ、とのこと。
ロシア軍によるウクライナ侵略下でも、SNSなどの情報の拡散はこのようなネット環境内にあるのかと。IT先進国であるウクライナでは、驚くことに国外へ避難した社員や、国内のシェルター内でITビジネスを継続中とのこと。
自動運転については、2030年以降緊急時を含め高速道路などでシステムが問題なく運転ができ、2040年には場所を特定せず自動運転が実用化するとのこと。
その2040年には、現在Amazonが開発している人間の手のひらをクレジットカード代わりにすることが実現するようだ。現金や何ももたずに買い物ができる時代になる。
電池の話だが、電解液を固体にすることで現在のリチウム電池の2倍の容量を貯めることができるそうだ。そして電気自動車(EV車)に搭載することで、EV車が走行しない時は電力の貯蔵に活用できる。したがって不安定な再生エネルギーより、EV車の普及に伴いエネルギー政策は根本から変わる。この固体電池は2030年には本格普及し、この技術は日本企業の競争力が高いとのこと。
ネクストエネルギーとしての核融合。燃料が枯渇せず、二酸化炭素を排出せず、高レベル放射性廃棄物も発生せず、天候にも左右されない「夢の技術」。物質を1億度以上にして原子核が高速で運動する「プラズマ」の長期間維持と制御する技術の確立が、現実の代替エネルギーとなる。本格化稼動は2050年ごろと言われている。
地上波テレビは廃れ、予算の潤沢なネット企業がコンテンツを制作し、新聞は加速度的に消えるが、取材して記事を書く機能は残る。
最小のものは指紋の溝に入るぐらいのチップがあらゆる商品につけられ、在庫管理や販売管理に活用される。すでにユニクロは自動レジを実施しているが、チップに埋め込まれた情報をいかに活用するかのフレームワークが日本の将来を左右する。
財務省や役所の利権により「歳入庁」の一本化が阻害されている。税金と社会保険料は国税庁と年金機構の既得権益であり保健料の徴収漏れも多い。一本化することで危機時の対応も早く、申告漏れもなくなる。
南海トラフ地震と首都直下型地震がかなり高い確率で予想されている。東京1極の経済活動を3割分散することで219兆円被害額が軽減される。約100年前のスペイン風邪の3年後の1923年は関東大震災が起こっている。
もう一つの自然災害の火山。富士山が噴火すれば首都圏は1年以上機能しなくなり、株価は絶望的に下落し、不動産価値は紙屑となる。意外にも普通預金は目減りがしないと言う意味で安全な資産かも。日本ではこの300年間大きな噴火が起きていないことは、歴史的には珍しい。
読後感想ではあるが、関心事だけ抜き取った忘備録のようになってしまった。先を見るというのは楽しいことだが、占いよりはましかな?