markdadaoの日記

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熱狂に流される

先月、90歳で亡くなられた半藤一利氏著による「昭和史」を再読。

巻末に320万人を超える日本人の犠牲者を出した、太平洋戦争の起因として「時の勢いに駆り立てられた」と記されています。それは「マスコミに煽られ日本人は熱狂し、そのものが権威を持ちはじめ、不動のもののように人々を引っ張ってゆき、流してきた」魔性の歴史であったとのこと。

感情にとらわれず、理性的に考えれば過ちを起こさずに済んだ。そこには国民それぞれが冷静さと胆力を備えていないと、妙な考え方に流されるわけです。

 

最近では森元総理(東京オリンピック組織委員会会長)の発言をネタにマスコミが煽り、野党やオリンピック関係者、そして国民までも「辞任」を要求しています。釈明会見の動画はたくさんあるが、問題の臨時評議員会の問題発言は文章しかありませんでした。状況的に会議の冒頭で挨拶を依頼され、ほとんどアドリブで話をしています。後半はJOCの山下会長のフォローが主であり、文科省の女性理事4割の要求に対し森さん流の反論をしています。ここだけを切り取られ女性蔑視としてクローズアップされています。

理事の大半は各組織からの代表が名を連ねており、女性理事を選出するためには各組織が女性代表を選出する土壌が生まれなければ難しいのでは。マスコミはスピーチ全文と書かれた内容が実はほとんどが切り抜き記事であり、こうやって我々はマスコミに煽られ、世論(一部の声の大きい人たち)が森さんを辞任に追い込むだろうな、と。

 

翻って、長年付き合いをしている韓国や中国の友人らとこれらの国際関係の話題になると、自国のマスコミ情報や国の主導した教育をもとに熱を帯びてくる。

エゴイスティックなナショナリズムであったり、国内では妬みや羨望による辞任要求であったり、主題から離れ現実を見失う。マスコミは我々が熱狂することに対し、むしろ冷静で大局観ある見解を示してほしい。早くそうしないと、TVや新聞はネット発信の情報に埋もれてしまうだろうな。