アンプビルダーでうちの技術アドバイザーのコメントです。
最初にツイードベースマンの解説、次にそのリイシューの注意点を記載します。
ツイードベースマンとは、フェンダーベースマンアンプの中の1バージョンで1959年に発売されました。出力管は5881(6L6GT)pp出力約40Wのベース用アンプです。ツイード貼りのキャビネットに10インチスピーカー(8Ω)を4発パラレル接続したコンボタイプ。
特筆すべきは、この回路「5F6A」をそのままコピーしたものがマーシャルが初めて世に出したアンプヘッド”JTM45”であるという事です。当時、ジムマーシャルはフェンダーが高価で買えない貧乏ベースマン達のためにこれを製作し、大いに喜ばれたとのことです。その後、基本的な回路変更無しに、ブルースブレイカーやPLEXI100等の大ヒット作を生むこととなりました。また、現在はこのツイードベースマンにしろJTM45にしろ、ベースプレイヤーではなく多くのギタリストに使用されているのは面白いところです。
フェンダーベースマンのコピーといえど、初期のマーシャルJTM45は出力管に英国らしいKT66を使っていたり、シャーシがアルミ製だったり、いくつかの製造上の違いがあるためか、それぞれいかにもアメリカのトーン、いかにもイギリスのトーンともいえる違いが出ているのかもしれません。
この半世紀以上昔にデビューしたアンプの回路5F6Aを研究し続ける人々がおり、それに関する解説本がいまなお出版されているほどです。
ツイードベースマンのリイシューの注意点
ツイードベースマンのリイシュー(現行復刻モデル)は、いくつかオリジナルと異なった仕様となっている事には注意が必要です。概略は次の通り
1.パワートランスB巻き線電圧がオリジナル325Vに対し350Vかそれ以上にアップされている。
そのため、出力管プレートに供給されるB電圧が500V近くまで高くなってしまう。
理想的にはパワートランスをオリジナル同様の電圧のものに載せ換えるのが良いです。載せ換えしない場合は、トランス1次側の配線をアメリカ117(120)Vに接続変更し、二次側電圧を落とす。また、整流管をGZ34(5AR4)から5U4GBに変更するなどしてもB電圧は落とせます。
2.バイアス設定を可変できるポットを省略してしまっている。
現行の真空管は特に流れる電流にばらつきがあるので、同じバイアス設定ではアイドリングがホットすぎたりクールすぎたり、そのとき挿した真空管次第となってしまいます。
半固定式のポットを増設するなど対策をするべきでしょう。
3.オリジナルはプリアンプファーストステージは12AY7。
こだわるならその球に変更する必要があります。12AX7とはゲインが大きく違います。12AX7は簡単にオーバードライブしてしまう傾向にあります。
4.リイシューはプリント基板採用のため抵抗類は1/4Wと小さすぎるものがメインで、電力に対する安全率がほとんどみられていない個所が多くある。
プリアンプ各真空管へのプレート電圧供給用抵抗等が燃えてしまったりするトラブルが見受けられます。
理想的には、当時と同じ仕様のサーキットボード(現在もキットメーカー等で入手可)を手に入れ、部品もちゃんとしたもので作り直すのがベスト。
*おまけ(笑)
コントロールプレート上にある、「グラウンド切り替えスイッチ」、実はこれダミーで、全く配線されていないただの飾りものなんです!?
やっぱりギターアンプは自分で作るのが一番ですね。
また、手作りアンプのお見積もりや修理のご相談もお受けいたします。
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