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markdadaoの日記

真空管アンプ用トランス、スマホ用衝撃吸収フィルム、RC、政治経済、読後感想など

今昔の北陸行き

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北陸新幹線が開通し、金沢まで便利になった。30数年前に取引が始まり、その頃は車で何回か行った事があるが、それ以降は殆ど訪問していない。

当時は深夜、車を走らせ、始業時まで仮眠を取り、打ち合わせを終えて日帰りをする強行軍であった。若かったので無理も出来た。

今は高速道路も新幹線も完備され、その分旅を楽しむ余裕もなく、客先の説明会へ出席。当時の技術や購買の担当者は、すでに定年退職されている。工場もショールームが併設され、小綺麗な様相に生まれ変わっていた。

この会社との取引をするきっかけは、胸の内にしまっておこうと思っていた。しかし、今日の訪問で、人の縁という事実を残したほうが良いと思い直した。

もともとは、父の知人であったWさんがここと取引をしていた。その息子さんが後継者になるとして、若かった私を相談相手にと。お付き合いをする手立てとして、ここの仕事を私に手伝わせ始めた。それからしばらくして、悲劇が始まった。

ある朝、Wさんは工場の外で奥さんが命を絶ったのを発見。気落ちしたWさんは私に「息子を頼む」と。機会あるごとに、私は息子さんへ声をかけるようになった。またしばらくして、その息子さんは、会社で親父を巻き込んで焼身自殺。会社は半焼し事業を引き継ぐ人もいなかった。

驚いた得意先は北陸から飛んできて、面識ある私に経過を質問する。Wさんの意思もあり、納期を確保するため、「私が供給をする」と申し出た。その購買担当者は動転しており「そういうことは、こちらで決める」と怒り出す。

「正式な外注先が見つかるまで供給をする。これはWさんへの供養だ」と伝え、なんとか納期を間に合わせた。その後、経緯を理解していただいたようで、正式に取引が始まった。

帰りの新幹線の流れる景色を見ていると、遠い昔の出来事を思い出した。