markdadaoの日記

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瓦礫を資源に

瓦礫などの破棄物を野田首相の依頼書を添付し、日本全国の各市町村へその処分依頼を行っていることを先週のニュースで報道していた。
しかし、横浜国大の名誉教授で地球環境戦略研究機関国際生態学センター長でもある宮脇昭さんの瓦礫を活かすアイデアを以前ラジオ放送で話されていた。そして昨年の10月26日の毎日新聞「新幸福論 生き方再発見」での記事を偶然入手したので概略を下記に記載する。

日本の照葉樹林域で、その土地本来の森が残っているところは0.06%しかない。ほとんどの緑が人間の都合で破壊され残りは全てニセモノ。
震災で海岸のアカマツクロマツが根こそぎ倒れていた。一方タブノキシラカシ、マサキは大地震や大津波に耐えていた。それは土地本来の常緑広葉樹で、根が深く張っていたからだ。「白砂青松」の松は防潮林の機能を果たせず、むしろ流木となり人を危険にさらした。
岩手・宮城・福島の瓦礫総量は約2,490万トン。再利用品と有害物質を取り除くと残りは9割。それを政府は6,800億円かけ処分しようとしている。
コンクリート片は小さく割って、木質瓦礫や土と混ぜ、穴を掘って埋める。そうして海岸沿いに、かまぼこ状の盛り土を築く。幅は50〜100m以上、そこにタブノキ・シイ・カシ等の苗木を混植・密植する。瓦礫と混ざった土は通気性が良く、根がコンクリート片を抱き倒れにくくなる。15〜20年後には高さ20〜30mの多層群落の森に成長する。
その森が「緑の壁」となり、津波を破砕しそのエネルギーを減殺する。その間住民の退避時間を稼ぐことになる。また引き波によって、漂流する人々や財産を沖合に流出することを防ぐ。
官僚は「木質瓦礫を埋めることは廃棄物処理法に抵触する可能性がある」と言い、政治家は賛同するものの具体的には動かず実現が遅れている。
瓦礫をそのまま埋めることには前例があり、ドイツでは戦車やコンクリート片、木くずを埋め都市林を築いた。横浜の山下公園関東大震災瓦礫を埋めて作られた。
瓦礫は資源であり、被災者にとってそこで生活していた証である。それを捨てたり焼いたりしないで、その場に森を築くことは「鎮魂の丘」であり未来への「希望の森」となる。
同じものだけを集めない、多様性が大切。最高条件と最適条件は違う。欲望が満たされた最高条件は危険な状態で、あとは破滅しかない。生態学的な最適条件とは「少し満足」「少し厳しい」「少し我慢」が求められる条件である。あらゆる災害に耐えて長持ちするのが本物の森である。

官僚・役人は法律を守って管理をするのが仕事、しかし政治家は超法規的措置を講じたり、法改正の仕事が出来る。政治家先生に教えを乞うのではなく、民意として政治家を動かすことが、私達の役割ではないのだろうか。
瓦礫を活かす『森の防波堤』が命を守る」で、東北の太平洋側約300Kmの森の長城を築こうと提唱しているとのことです。