markdadaoの日記

真空管アンプ用トランス、スマホ用衝撃吸収フィルム、RC、政治経済、読後感想など

事業終息・清算

お得意先のT社が事業を終息し、裁判所に届け出をして清算活動に入った。50年の歴史をもつT社は日本有数の大手電機メーカーの100%の子会社である。

30数年前から主に家電品の製造を手掛けていたが、大量生産で安いコストを求められる事業を行っていたため、昨今低コストの海外製品との競争と、市場縮小に伴う家電製品からの撤退を余儀なくされた。そして3事業が残り、そのうちの1つは多品種による薄利多売を強いられ、昨年これも市場撤退をした。2つ目はエコ環境の市場要請に新たなる技術革新の対応ができず、その業務をグループ企業へ手放すこととなった。3つ目は収益性があり市場シェアー率が高いため、この製品による経営計画を描いていた。
しかし、親会社の株主から債務超過の借金を、短期間で返済することを要請された。そのためには社員へ低賃金、仕入先には更に低価格を要請せねばならない。このような条件下で経営を継続するのはいかがなものか?と考えた。そして「未来のために事業譲渡」を決断した。

以上は会社を代表する取締役の説明である。
清算とは倒産ではない。従って貸し倒れが無いので資金回収はできる。しかし受注が今後、事業譲渡した会社から継続的に取れるかは疑問である。
経営がいったん悪い方へ流れ始めると、よほどのエネルギーが無いと好転させることは至難の業である。従って日々の改革が無いと、企業経営は簡単に落ち込んでしまう。しかし時代の先取りをすることは、周囲が冒険と思い一般的には否定的である。
新しい時代を感知する能力、協力者を理解させる説明力、そして果敢に攻める勇気が必要だと取締役の話を聞きながらあらためて感じた。