今年の10月に発行された、関眞興著による「ライバル国からよむ世界史」。以前近隣国家の関係を書いたことがあるのですが、専門家の見方を知りたく読んでみました。
特に、中国・朝鮮・日本の3国は経済を軸に強い結びつきを持ち、簡単には対立できない状況になっている。軍事力の介入のない関係の維持を望む、と著者は淡々と史実に基づき解説してます。
多くの対立は「隣国」間と、大国同士の勢力争いの「ライバル国」である。したがって隣国間の争いは地政学的に、ヨーロッパの王国(・・家)同士の勢力争いが歴史にあり、その反省と民主化からEUが生まれたのかと思う。
第一次世界大戦後のシリアはフランスの支配圏にあり、IS(イスラム国)によるパリでのテロも歴史的に関係があるかもしれない。そもそも2011年以降のアラブ世界の混乱が、シリアに飛び火し、ISを生み出したとも言っている。
イラン・イラク戦争でアメリカがイラクを支援し、戦後イラクがクウェートを併合したのを機会にアメリカは湾岸戦争を起こし、今度はイラクを攻撃。そして2011年の9.11の同時多発テロを機にアメリカはイラクへ戦争をしかけ、フセイン政権を打倒する。
その後フセイン政権下で迫害されていたイスラム教シーア派が権力を握り、スンニ派の過激派がいらだち、ISという武力集団が誕生する土壌を作ったとのこと。
歴史に”もし”は無いのだが、アメリカが世界の警察としての活動を行わなければ、世界はどうなっていたのだろう。自由主義や民主主義は無くなっていたのか、または力が大いに削がれていたのか?
私たちが入手出来る国際情報は、アメリカの立場からが圧倒的だ。そして、イスラム社会がヨーロッパ経済と組むことで、アメリカの地位やドルの威信を脅かしたのだろうか?
昨日、インドと日本が安全保障と経済提携を強化する発表をしたが、これも悩ましい隣国間の国境トラブルが原因で、インドの中国への牽制と言われている。結果、インドは安い中国製の新幹線を選ばず、日本製とした。