著者高山正之氏の『アメリカと中国は偉そうに嘘をつく」より、カダフィとサダム・フセインを記す。
カダフィの功績は、石油収入もとにリビア全体の生活水準を上げ、識字率85%まで引き上げた。学校も医療もタダで福利厚生はアフリカ一。女性を解放し学校に通わせ、職業につく自由も与えた。「正妻の許可」をもってイスラム教の四人妻制を実質的に廃止させた。石油収入をもとにアフリカ通貨基金の創設を準備し、ドルやユーロにふりまわされない、アフリカの自立を求めた。
しかし、国連安保理により「残忍な独裁者」のレッテルが貼られ、最期はNATO軍により生きたまま「虐げられた民衆」に引き渡され殺された。
全てが終わり、暫定政権より女へ再び宗教の枷をはめた。
サダムは欧米石油大手が握っていたイラクの石油を国有化させ、国庫収入を70倍の300億ドルにした。これを元に、インフラを整備し、農地解放により自作農を増やし、イスラムの掟に縛られていた女性を外に出し、学校に通わせた。そしてユネスコは彼に教育貢献者に与えるクロベスカ賞を授与した。しかし、モスクが大地主だったイスラムから反発を招いた。石油を武器に中東の近代化を図ろうとし、サダムに共鳴する者が増え、エジプトのムバラク、リビアのカダフィ、シリアのアサドなどである。しかし、息子ブッシュはアラブの近代化を喜ばず、9.11後「サダムが仕組んだ」と因縁をつけ、その嘘を元に米英はイラクに軍を向け、サダム政権を粉砕した。
このカダフィとサダムは石油収入をもとにイスラムを敵に回しながらも、国の近代化を押し進めていた。それを他国の米英軍やNATO軍によって粉砕された。
何の因果か、凶暴なイスラム国(IS)が台頭し、現在欧米は難題を突きつけられている。