「在任36日の沖縄政務次官」
参議院議員時代の1975年12月に、立川談志は、沖縄開発政務次官に就任するが、就任時の会見で議員の選挙資金についての答弁が問題化。政務次官としての初仕事である沖縄海洋博視察で、二日酔いのまま記者会見に臨み、地元沖縄メディアの記者から「公務と酒とどちらが大切なんだ」と問いつめられた際、「酒に決まってんだろ」と答えた事でさらに問題化した。
◆ 落語と講談の違いから、
「二宮金次郎は偉い」なんて言わないんだよ。「二宮金次郎。どうしている?」「又、薪燃やしちゃって怒られてりゃあ」なんて。こういう部分も、二宮金次郎にあったはずでしょう。そこを語る。これが、落語と講談の根本的な違いでございましょう。
◆ オリンピックにちなんで、
アベベが速いわけで、アフリカの奴は速いわけだ。ライオンに追いかけているからってネタ、皆が演っているけど、あれは俺のネタなんだ、
槍投げなんて良いけれど、あれ、向こうが動いているってことになったらね、これ、マサイに適わないですよ。
「跳ぶ」「走る」「当てる」「持ち上げる」あと何だい。「投げる」か。本来この五つですよね。そこへ「舞う」なんてのが入って来るから、めちゃくちゃになっちゃうんですね。
日本とソビエト、どっちが巧いかって、これはすぐにわかりますけれどね。もう無理ですよ。身体の形が違うんだから。だからね、日本は女子平均台に角兵衛獅子出すべきなんですよ。いいと思いますよ。テケテンテンテン、ひっくり返ったりなんかして。
だけど、日本は、オリンピックへ参加しない方がいいなあ。さもなきゃ、パフォーマンスだけで参加するとかね。・・・大名行列かなんかで、駄目なのかな。先棒が担いでずーっと廻っていくとかね。じゃなかったら人力車でもって「あらよっ」ってな事言ってさ。
◆ 一分で演る落語から
あたしは、地方から電話をかける時は、ほとんど十円か、多くて三十円だね。どんな遠くからかけても。たまにゆっくりかけてると、ウチのガキなんか、「ああ、ただの電話だな」って、知ってやんの。
◆ スポーツについて、
いろんな理屈付けてんなあ。「ゴルフは難しい」って言いやがんの。「野球の方が難しいだろう」「いやあ、そうでないですよ。止まっている球の方が打つの難しい」って言いやがんの。上岡龍太郎が。よく言うよ。止まっている球の方が難しいわけがねえじゃねえか。
「そうでないですよ、師匠」
「じゃあ、ゴルフの球、投げられてみろ、打てねえから」って言ったの。
打てるわけがねえですよ。
昔は走ってたものが、文明の発達と共に、だんだん走らなくなってしまったから、それを取り戻そうと思って、走っているんだろうけどね。言っとくけど、昔は走ってねえんですよ。走ってるのは、追っかけている時と、逃げる時だけなんです。あとは飛脚。それだけなんですよ。
飛脚だって間に合えば、別に走りゃあしねえんだ、あんなもの。
◆ 動物のギャグ、
頭の良い犬がポーカーやってったって、 有名な話がありますよね。
「おい、ポーカーやってんじゃねえか。頭いいね」
「いや。所詮、犬なんだ。良い手が来ると尻尾振りやがる」
こういうジョーク。おれは、この後が好きなんだ。
その頭の良い犬が大学に行ったんだ。夏休みに帰ってきてねえ。
「どうだい?大学は?」
「ああ、順調にスタート切ってますね。外国語は、特に良いですよ」
「そうかい、どんな外国語をまず覚えた?」
「ニャー」
◆ 馬鹿げた話
「あー、金儲けはないかな」って言ったら、聞いていた奴がね、
「金拾って、歩けばいい 」
「拾って歩けたって」
「鉄クズでも」
「鉄クズ拾いなんて、おれのプライドが許さない」なんて言う。
「ああ、そう。それじゃあ、ステッキの先に磁石を付けて、颯爽と拾って歩くって、どう?」
「おお、イイね。それは」
「なら、いっそのこと、靴の底に磁石付けて、こうやって歩いたら、幾らでもくっついてっきちゃうよ」
「ああその方がいいや」って、出かけたきり帰ってこねんだってさ。見に行ったらね、地下鉄のマンホールの蓋の上で・・・・
この話を女房にしたらねえ。
「靴、脱げばいいじゃないの」
◆ 凄いぞぉ、うちの女房は
「パパ、お金持ってんでしょ?」
「持ってるよ」
「じゃ、何で、落語なんて演るの?」
「・・・・」
「お金が欲しいの?」
「金なんぞ、欲しくない」
「だったら、演んなきゃいいじゃないの」
「・・・だけど、落語演らないとなあ」
「ああそう、演んないと おさまんないの、じゃあ、小さな声で演ったら」
「つい演っちゃうんだ」
「それが駄目なのね」って言ってたよ。そうなんだね、つい演っちゃうってのがね。だんだん彼女の方が真理じゃないねえかなって、思うようになってね。
◆ 小さな幸せ
人間一日だけ幸せになりたければ、床屋に行くといい。
一週間幸せになりたければ、結婚するといい。
一年幸せになりたければ、家を建てるといい。
一生幸せでいたければ、自分に正直であるといい。
今宵、幸せになりたければ、談志を聴くがいい。クァーッ!
◆ 好きな小噺
サバンナを行ったら、ライオンにばったり出っくわしちゃって 、逃げりゃ後ろから来るだろうし、前にも進めないし、ともかく、奴の目を見てる。向こうも、こんな顔して、こっちを見てるんだってね。そこで「心配するな、おれも五千円で雇われた」って言えばいいんだけど、そんなこと言わないんだってさ。こいつが、じっと見ている。一分、二分、三分、どれほど長かった事か。冷や汗かいたままね。するとライオンが「私は食前の祈りをしているんですけど、あんた何やってんの?」
本の後ろのページにQRコードとパスワードが書いてあり、「源平盛衰記」「三件長屋」「芝浜」を聴く事が出来る。2016年5月末日まで配信する予定だそうだ。