markdadaoの日記

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国際主義

太平洋戦争におけるフィリピンでの末期のジャングル線を生き抜いた従軍化学者、小松真一氏の「虜人日記」の中で、当時30代(53年前)の作者が語っている。
 今度の戦争を体験して、人間の本性というものを見極めたような気がした。色々考えを進めていく内に、国家主義ではどうしても日本人が救われないという結論を得た。そして我々は国際主義的高度な文化・道徳をもった人間になってゆかねばならんと思った。これが大東亜戦によって得た唯一の収穫だと思っている。(昭和21年11月25日 カランバンにて)

蒋介石についてもこのように書かれている。
 支那事変以来、日本人の蒋介石を憎む感情は相当強かった。然し、今度の日本敗戦に対する彼の態度はどうだったか。「あだを恩で報いよ」、そして「支那からは戦犯者を成るべく出さんように」と彼のやり方には全く打たれるものがある。あの支那の困難な時局を乗り切ったのは彼の政治的軍事的手腕だけによったものではなく、この人格こそ一大要素だった気がする。今までも蒋介石のおかげで出世した軍人はたくさんいたけれど。


新井美恵子著の「モンテンルパの夜明け」にて日本人戦犯の帰国を許可した当時フィリピンのキリノ大統領のメッセージ
 「日本人のため妻と三人の子供、五人の家族を殺された私は、彼らを最も許しにくい立場にあったのだが、私は許すことにした。
 それは、フィリピンにとって恒久的な利益をはかる友となるかもしれない日本国民に対して、私の子供やフィリピン国民が、私の憎しみを受け継ぐことを欲しなかったからである。
 要するに、フィリピンと日本とはよい隣国となるべき運命にある」

最近は少なくなってきたが、たまに現地で日本人が彼らを見下した態度や横柄な態度を見るにつけ、心が痛んだ。日本の経済発展の原動力になったのは、このような戦争で苦労した日本人が戦後を支えたからであり、今の我々はその上に乗ってきたという自覚がなく、経済格差の結果だけでそのような態度を取るのであろうか?
私たち後世が果たす役割は国際間の友愛であり、冷静な外交であろう。