井上篤夫著による孫正義のバイオグラフ「志高く」の新版を読んでみる。いつものごとく面白い部分を以下の通り抜粋する。
孫の学生時代の発明考案ノートより(発明のプロセスは3通りあり、第1は問題解決方法、第2は水平思考、第3は組み合わせ法)
第2の水平思考で「色だけで表示している信号を形でも表示できないか。そこで生まれたのが、色によってサインの形状を◯△◾️(まる、さんかく、しかく)に変えた信号だ。これなら色弱の人でも判断がつく。」
目先の利益ばかりを追っていては、大きな利益は得られない。孫がよく口にする言葉がある。「損(孫)しても正義」
茶人の山田宗偏がイギリス政治の研究をしている北海道大学大学院教授の山口二郎から学んだ事。
「志」と「野心」という言葉は同じ。いまは野心のある政治家がいない。志と野心が無いから、結局ビジョンがない。ビジョンがないから混迷してしまう。志というのはもっと啓示的な言葉で、お金儲けとあまり関係がない。
ひとつ志を立てたら、人に何を言われようとも耐え忍ばなければならない。耐え忍んでいるうちに、人格が磨かれていき、人に慕われる人物になれる。
禅の教えによれば、苦労は楽しんでしないと人間的成長がない。
政府がやるべき仕事とは何か?
「ひとつだけです。邪魔をしないでほしい。日本における規制とは、新規参入を妨げることだった。アメリカにおける規制とは、独占企業を制限して、新規参入組にチャンスを与える事なのに」
「日本は1980年ぐらいまでは敗戦後の復興という意味で急成長した。けれどもトップにはなれなかった。二番手どまりだった。デジタル情報化社会がやってくるいま、世界一安くて、世界最高速のスピードで、世界初のIP技術を続々と生み出している日本は、大きなチャンスなのです」
「もっとも重要な三つの事。一番目が志と理念。二番目がビジョン。三番目が戦略です」
アリババの馬雲(ジャック・マー)の言葉
「もちろん技術の変化は孫さんも私も考えていますが、本当に世界を変えるのは技術ではありません。まず不満、クレームを解決する事だと思います。ビジネスマンが原点に戻ってお客様を支援する、助けていくことです。それは私の夢であり。努力する事だと思います」
柳井正が解説で以下のことを言ってます。
孫さんのサクセス・ストーリーを読んで、感動したり、刺激を受けたりするだけじゃだめです。「孫さんがこういうことをやったのなら、自分も何か出来るんじゃないか」と考えて、行動をして欲しい。
人生は長く、同じように仕事をする期間も長い。二十歳くらいから仕事をはじめても、六十とか六十五歳、人によっては七十歳くらいまで仕事をするのです。その意味で、仕事というのはチャレンジの連続です。四十年とか五十年、あなたは何を糧にして生きるんですか。チャレンジする事なしに生きて、あなたの人生にどんな意味がありますか。人間は、みんないずれは死にます。だから人生の主役は、皆さん一人ひとりです。