markdadaoの日記

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技能実習生の失踪を考える

今朝の日経新聞に不法残留が22年ぶりに増加した。その技能実習生の失踪が増えたことが要因だという記事が取り上げられている。特に実習生では中国・ベトナムの失踪者が多く(総数では韓国・中国がダントツに多い)、年間で総数4679人と記載されている。そして法務省は「受け入れ企業が意欲の高い実習生を選抜するよう指導する」と結んでいる。

日本の受け入れ側が、「意欲の高い実習生を選抜する」ということは現実的にかなり難しいことである。JITCO(国際研修協力機構・法務、外務、厚労、経産、国土の5省の共管)が送り出し国の窓口を推薦し「意欲の高い実習生」を選抜できるように道筋を立ててくれてはいるが。

問題は送り出し機関が、実習生を現地で教育する際の費用の負担や、失踪防止のための供託金のような資金を誰が肩代わりし、回収するかであろう。

ほとんどの実習生は20代の若者が多く、豊かな家庭の子は少ない。既婚者は国に残した家族のために貯蓄・倹約意識は高いが、未婚の若者が物資豊富で美味しい食べ物が多い日本で生活し、つい給与を全て使い切ってしまうこともあろう。3年間の実習期間を終え国に戻る際、返済資金の持ち合わせがないことを知ったとき、彼らはどう考えるのだろう。

新聞紙上では残業代の未払いなどが原因で失踪していると言われているが、このようなトラブルを未然に防ぐため組合(団体監理)などが実習生と企業の間に立ち是正している。10数年前このような制度が出来た頃、研修生が所得を増やしたく、経営者に低額の時間給を提示し、仕事をしたことを聞いたことがあるが、現在はそれぞれに情報が豊富(当時は携帯電話やパソコン保持も出来なかったが)で、このような低賃金はかなり少なくなっていると思われる。

また、実習生の金銭管理を受け入れ企業等が指導すると、国は人権侵害として罰する。更には、同国人同士の情報交換のため寮を無断外泊しても、これを管理指導することも人権侵害としている。その情報交換が失踪の動機を生む場合も多いにある。外国で誰を信じるかである。

本来ならば、受け入れ企業の社長始め社員たちが、日々、家族同様親身に相談をし、生活態度や金銭感覚のアドバイスを行うことが、「技能実習」と合わせて「大人としての人間形成」に必要な手助けが出来ると思う。しかし、関係官庁の人権侵害という取り締まりにより、受け入れ企業の行動を萎縮させている。

大事なことは、問題が発生してから法律で規定し縛ろうとすることより、制度の抜本的な改善をすることである。従って新たな法律で、受け入れ企業を届出制にするとか、管理団体を許可制にするとして、即問題が解決するとは思えない。ましてや実習生に人権侵害行為の禁止規定を設け、罰則を規定するとしているが、ポイントはそこではないと思うのだが。

何度も言っているが、日本文化を理解し日本語を話せる若者を、単純労働を含めビザを発給することがトラブルの減少となる。グリーンカードの修正版を策定し、日本がイニシアティブをとり毎年国別の入国者数をコントロールすれば良い。以前、中国国際貿易促進委員会の顧問の時、ある中国の要人が言っていた。外圧でこの外国人研修制度を日本が作った経緯があると。

また、不法残留の要因は国を挙げて外国人観光客増員のためのビザ緩和により、急速に訪日客が増加したため失踪し不法残留する機会が増えていることを、ブラックイメージとして実習生の失踪へ置き換えられているように見えるのは私だけなのか?