外国人実習生を受け入れた場合、その受け入れ企業が実習生のために宿舎を確保する。その際、実習生一人づつがアパート等個室を提供した場合や、受け入れ企業の社長さんの家に住まわせる場合は寄宿舎の対象とならず、届出も必要ないそうだ。
しかし、農家の敷地内に宿舎を建て、共同生活をする場合等はこの寄宿舎設置を届けなければならない。そこで、何人以上が対象になるか各市にある労働基準監督署に確認をすると、指導内容がバラバラである事がわかった。例えば複数実習生(2人以上)が寄宿舎にいる場合は寄宿舎設置届けが必要、実習生と労働者の合計が10名以上の場合届出が必要などそれぞれである。
またその寄宿舎規則の作成において、5つの項目(以下参照)がある。
① 起床、就寝、外出及び外泊に関する事項
② 行事に関する事項
③ 食事に関する事項
④ 安全及び衛生に関する事項
⑤ 建設物及び設備の管理に関する事項
現実は、実習生の人権確保を理由に、外泊を禁止する事は出来ない。または失踪を防ぐ事を口実に外出禁止も駄目である。しかし失踪の責任の一端は雇用側にも責が求められる。日本語研修として各自治体にある国際交流協会の行事に誘ってもいけない。始業が8時だから、8時までに食事を済ませるようにと規制しても、いつ食べても自由であり規制されるべきでないと言われる。
従って、この寄宿舎規定は有名無実となり、規制は無いと記載してでも、監督署には提出をしなければならないという担当者もおり、このような矛盾が起こる。
労働基準法第96条からその2までの寄宿舎基準は厚生労働省が定めるという。労使間の寄宿舎を含め労働環境の交渉を、厚労省の役人が定めると言うところに、それぞれが矛盾点を感じながら今があり、現場の担当者の基準の相違が拍車をかける。