ある電気の規格を教えてもらいたく、数か月ぶりに先輩に電話をした。早期定年退社してからも再就職をされ、現役として頑張っておられた。しかし数年前より毎月数日間は入院を繰り返していた。本人は「奇病だからなかなか治らないんだよ」と言っていた。1度は長期入院となり、お見舞いに病院を訪れたこともあった。それでも仕事に復帰して、疲れると言いながらも精力的にあちらこちらと動いておられた。
電話の向こうで、「白血球が増え、すでに末期症状だ。感染症を避けるため隔離されている。もう会えない。」とのこと。言葉に詰まる。「何か用なのか?」と。「特に用はないのだが、最近お声を聞かなかったので。」と嘘を言い、言葉を選びながらようやく電話を切った。
何とかがんばって再度復帰を願う。そして、いつふりかかるかも知れない病や事故から、今を生きていることにいとおしく思う。