1月の中旬に会社のホームページから以下のような問い合わせが入る。
「CRATE V1512の音は気に入っているのですが、若干線の細さが気になっています。
今まで使ってきたアンプでは、同じ真空管・ワット数でも大きいトランスを搭載している方が音が太く、クリアな印象だったこともあり、出力トランスの交換を検討しています。」
メールで色々と打ち合わせを行い、電源トランスと出力トランスをリメイクする事となる。電源トランスに関しては、現在搭載されているトランスを計測し、同じコアサイズで積厚を増やし、オリエントコア材質として2次回路の電流密度を多くとれるようにした。B電源は回路図等から適正な電圧に改善する。ユーザーはスライダックで電圧を調整していたので、もちろん1次電圧は100Vとした。
出力トランスに関してはアンプの容量に余裕を持たせるため、一ランク大きなサイズとした。この余裕率も音の改善となった。
先日トランス納品をした後、ユーザーから下記のような嬉しい感想をいただいた。
「昨夜、何とか搭載しました。
思ったよりの大きくて、配置に苦労しましたが、何とか収まりました。
周りの部品の耐圧も確認しましたが、電源部は回路図通り450Vになっており問題なさそうでした。
バイアス調整は勉強中でまだ出来ていませんが、昼間に音出ししてみました。
かなり良いです!
一言で言えば、芯の太さが増したと言えます。
電圧が上がった事も要因かもしれませんが、ピッキングへの反応がすこぶる良いです。いわゆる、速い音だと思います。
EL84は煌びやかな高音が魅力的な管だと思いますが、線の細さを感じていました。また、EL84×2本では、深く歪ませた時はグシャッとして分離が悪くなる傾向にあります。
しかし、アテネさんのトランスに変えた後は、高音の煌びやかさはそのままに芯の太さが増して、歪ませた時に低音弦でも潰れません。
やはり、EL84×2本のアンプはコスパが重視されている事もあるのか、安いトランスが使用されており、EL84の本来の力が発揮されていないのかもしれないですね。
念の為、元のトランスとアテネさんのトランスで音源を録って比較したので、プラセーボでもないと思います。
個人的には、スピーカー、トランス、真空管、コンデンサー、その他の素材の順で音への影響が大きいと思います。
高いヴィンテージ・チューブを買い漁るより、アテネさんのトランスに交換する方が、明らかにコスパが良いです。
あまりに良く変化してくれたので、取り急ぎ報告しました。
これから、バイアス調整をしたり、弾くうちに質問や気づいたことがあったら、また連絡致します。
よろしくお願い致します。」
写真左が電源トランス(AGPT-07C)で右側が出力トランス(AGOT-09J : 8K/4-8-16)。
電源トランス AGPT-07C - 変圧器・トランス・フィルムのアテネ電機