markdadaoの日記

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床屋さんでの会話

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洗髪した後に熱いタオルを渡される。もちろん、顔にかかった水しぶきを拭うためだが。問題は使用したタオルの返し方。そこで人柄がわかるそうだ。

7割がたのお客は目を合わせ無言で返す。と言うことは残りの3割は目も合わせず渡している。私の先輩のTさんとある病院の医院長Aさんは、目を合わせ更に会釈をして「ありがとう」と言うそうだ。ここに品格の差が出るんだろうな。

私は自分の顔を拭った部分を内側にして折りたたみ、渡すのが礼儀だと思っていたが、そこまでは考えていなかった。真似をしても化けの皮はすぐ剥がれる。ようはTさんもAさんも普段からの他人に対する姿勢が違うんだろうな。

客商売はお客の話を聞き、否定することなく侮ることなく会話を続ける。自慢話をする客もいるし、偏った意見を持つ客もいる。床屋さんとお客の会話を小耳にはさみ、恥ずかしくなるような話もある。床屋さんはストレス解消にスポーツをしたり、友人たちと酒を飲みに行ったりしているようだ。しかし、基本的には人間が好きなんだろうな。このタイプの人たちは、旅行へ行っても観光地巡りより、地元の酒場で知らない人と酒を酌み交わしている方が好きなようだ。

反対に、もう亡くなられたが、技術系の先輩がいて、「人間は嘘をつくが、電気は嘘をつかない」といって研究に没頭をされていた。だから友人は少なかったが、先輩の葬儀の際上司が「彼は孤高の天才であった」と弔辞を述べていたのを記憶している。

私はこの床屋さんと同じ、「人間大好き人間」のため孤独を好む人は信じられなかった。が、この先輩は人間同士の付き合いから生じる煩わしさを避け、技術開発に没頭することで孤独を楽しんでいたのかもしれない。

私はここ数年、集団の仲間から遠ざかっているが、かといって孤独を楽しんでいるわけでもない。旅行をすれば地元の人たちに話しかけ、そして溶け込む。人と話がしたくなれば趣味の合う音楽仲間や価値観の合う人のところへ出向き、会話を楽しむ。

習慣的に合う人たちは近しすぎ、他人のアラを探したり噂をたてたり、そしてささいな争いごとに発展する。しかし、大人同士であるから相互の個性は認め合い、大事に至らない。このようなストロークに飽きてきたと最近感じてきた。

深入りせず、人の良い表面だけを見て、ニコニコ笑って人生を送ることができれば幸せだろうな。多分、前出のTさんやAさんはこういう生き方をしているのではなかろうか?