7日のPLoS ONE(オープンアクセスのアメリカの科学雑誌)に大阪大大学院のグループが「利他的行動を科学的に立証した」論文を掲載した。
人類の利他的行動の進化は、「親切にした相手からではなく、第3者から親切が帰ってくる現象」だそうだ。これは人間社会の本能である、種の保存に起因しているのかもしれない。
この利他的行動はロータリーの“He profits most who serves best”という人道的奉仕活動に相通じるものがある。ただし当事者がこの台詞を使うと色が褪せる。あくまで仲間に生き方を推奨する言葉だと思う。そして自分もこの言葉は生き方のモットーとしているのだが、土壇場で崩れ去ることが多い。
研究では、大阪府内の5、6歳児70人を対象に日常の行動を観察。1人がおもちゃを貸すなどの親切な行動をとった際、周囲1メートル以内にいた他の児童1人のその後10分間の行動を、日常時と比較した。
その結果、近くにいた児童が親切を行った児童に対してとった親切行動は、日常時の1時間あたり0・47回から5・58回へと大きく増加。体に触れたりして仲良くしようとする行動の頻度も2倍以上となり、社会間接互恵性が幼児期から日常生活で発揮されていることが明らかとなった。
この個体の評価(周囲を親切にする度合い)が高まり、周囲の人達がこの人へ親切にするという仕組みが解明されると、無償の行為も味気なくなる。でも科学はそのようなことも解き明かしてゆくんだな。