戦後間もない頃、MPのジープで東京を警邏した「同乗警察官の観察記」。これは先月神田で漁った古本の一つです。最終ページにこの本の著者を紹介する記事が、所有者による1995年1月15日の朝日新聞の切抜きが挟んでありました。(下記写真)
敗戦で困窮、混乱した日本を原田弘氏の体験録として、主に東京の当時の様子を著したもので、自分たちが生まれた頃の時代背景を知る上で、とても興味がありました。断片的には両親や叔父叔母から耳にしたことはありましたが、いろいろな人の話から、昭和史の立体像が見えてくることは、現在のようなブログなどない時代でしたから、貴重な資料です。そして敗戦の悲哀とそれからの復興を、庶民感覚で知り得ることができます。
全てではありませんが、少し前まで戦争をしていた国家間の若者たちが、友情を深めてゆく姿が描かれています。その若者たちは平和を愛しそれを享受しているのですが、国家という立場になると戦争も辞さない。そして多くの無辜の命が葬られる、人類の歴史に学習効果はないものか? 考えさせられます。
内容は6章と年表が綴られています。
第1章 焼け跡に立つ警察官
著者が消防手からMP同乗勤務に着くまでのストーリー
第2章 ジープで占領下の東京を走る
第1次MP同乗勤務の時代で、当時の東京の状況がわかる
第3章 アメリカと日本のあいだで
第2次MP同乗勤務の時代
第4章 不思議な時代だったあのころ
DDTの散布など戦後の混乱時期の状況
第5章 街娼取締りから脱走兵の逮捕まで
様々な事件。特に日米の表彰授与内容に対する発想の違い
第6章 MPライダーの終わりとひとつの時代の終わり
東京オリンピックを挟んで著者のMP時代の考察
著者は日大二商(現日大二中)を3年生で中退しているとのこと。20年以上前の先輩であるが、その後日大三商で卒業をしている。