markdadaoの日記

真空管アンプ用トランス、スマホ用衝撃吸収フィルム、RC、政治経済、読後感想など

ある産婦人科医のお別れ

78歳まで現役で3つの病院に従事し、穏やかで寡黙な産婦人科医師が突然亡くなられた。昨晩の通夜を終え、今日告別式が執り行われた。
本人は日頃、内輪での家族葬を希望されていたそうだ。しかしその人柄から、多くの参列者で通夜の席を埋めた。仕事着で駆けつけられた看護婦さんの中には、故人の徳に触れ涙を見せる。

音楽が好きな故人は奥様の為に、グレンミラーのコンサートチケットを手に入れたが、聴きに行くことが実現出来なかった。故人はベースを弾かれるので、私ともその趣味で話しが合い、一度ベースアンプをお借りしたことがあった。

読経が終わり、弔辞では13年前、難しい出産で先生に取り上げていただいた少年がお別れの挨拶をする。その後お孫さんらが3名、それぞれメモ用紙を小さな手で握りしめ挨拶。バンド仲間の友人がハーモニカと小さなギターで遺影に向かい歌と演奏を披露。震える手先の歌詞カードがマイクに当たり、懸命に歌うものの涙が出て唄えなかったとお詫びする二人の老人。
棺に花を入れる際、悲しみの奥様からの願いで、故人の好きだった「あざみの歌」を親族の一人(ソプラニスト)がピアノに合わせ唄う。参列者のほとんどが、この歌声に目頭を押さえる。
ご長男の挨拶の最後に、「天国で安らかにお休みください」とのこと。