markdadaoの日記

真空管アンプ用トランス、スマホ用衝撃吸収フィルム、RC、政治経済、読後感想など

ドクター石井のインフルエンザ診断見解

f:id:markdadao:20190204164804j:plain

親友のドクター石井君よりインフルエンザに関するコメントをいただきましたので、ブログにアップさせていただき、万が一の医療受診の際の参考にして下さい。

 

 

連日インフルエンザに関しての報道を目にします。しかし、特に診断に関し、患者さん方が誤解をするような記載が時折気になり、私が学会や研究会で使用したスライドを使って私なりの見解を説明させていただきます。

産経新聞H.31.2.2の「インフル流行複数回罹患も」という記事に、

Q:「かかったことをどう確認するのか」
A:「医療機関に行くと細い綿棒のようなもので、喉の奥や鼻の奥をこすって、付着物で陽性か陰性か判定できる」、

とありました。この、記載は少しばかし問題があると思いました。


下のスライドは2009年新型インフルエンザの際に出された資料です。

f:id:markdadao:20190204164925j:plain


新聞の記事は、簡易検査の結果だけでその診断が出来るように読み取れます。しかし、ここにも記載されていますように、本来、インフルエンザの診断に際しては、「臨床症状、および簡易迅速検査の結果を踏まえ医師が診断する」と明記されています。私自身はさらに、「流行状況も踏まえ」という一文を追加しては…、と考えます。

f:id:markdadao:20190204165115j:plain

このスライドは、新型インフルエンザが発生した当時、2009年に発行された「新型インフルエンザ対策実践ガイド」に記載されたものです。すでに10年前の資料ですので、簡易検査の精度はもっと上昇しているかと思われますが、決して100%でないということはご理解ください。

下記スライドにあります、診断に際し、この「簡易検査だけに頼る」ということについて、東北大学の渡辺先生は,すでに2014年には警鐘を鳴らされています。

 

f:id:markdadao:20190204165211j:plain


また、2013年に日本臨床内科医会インフルエンザ研究班の班長である河合先生は、「インフルエンザ」という文献の中で、上記のように記載され、同年の「厚労省インフルエンザQ&A平成25年度(2013年度)インフルエンザの予防・治療について」も、「医師が診断し医師の判断で抗インフルエンザ薬の使用を考慮」と明記してあります。どこにも簡易検査の結果のみで診断する、とは記載されていません。


 
私自身、簡易検査を行った際に陽性に出たら、「よかった、インフルエンザだ」と口にしてしまいます。

と言うのは、抗インフルエンザ薬を投薬した翌々日には、ほとんどの症例で、症状は著明に軽快するため,むしろインフルエンザと診断でき、患者さんを慮って治療を始めることで,我々は安堵するわけです。

多くのインフルエンザ症例は、抗インフルエンザ薬を使用しなくても、自然に治癒することがあり,抗インフルエンザ薬の使用に関しては様々な意見があります。

しかし、免疫力の低下した方、乳幼児のインフルエンザ脳症の発生を考えると、やはり、インフルエンザは大変な疾患であり,その診断の根拠は重要な意味があると思います。

ですから,患者さんたちに正確な情報を伝えるという観点からも,報道の内容は考慮してほしいと思います。ただ,医療従事者の方々でも、ここに記したことを知らない方も多いかも…。

このような情報も参考に、受診してみてはいかがですか?
                 (2019.2.3 石井良幸)

ishii-iinn-tachikawa.com