markdadaoの日記

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「戦争調査会」(幻の政府文章を読み解く)を読んで

 

 

1956年、東京生まれ。現在学習院大学学長、法学博士の井上寿一氏の著による「戦争調査会」は8月の終戦記念日に読もうと思い購入しておいたが、読後感想が9月になってしまった。

これは、太平洋戦争直後の東久邇宮内閣の後継首班として、70歳を超えた幣原喜重郎首相による戦争を検証する国家プロジェクトである。

この「戦争調査会」の貴重な資料を読み解いたこの書籍は、「おわりに」の章にある「近隣諸国との歴史認識の決着への糸口になろう」に期待。また、戦争体験への継承として「戦争の時代の全体像を考え続ける・歴史的な想像力を鍛える・有益な参考書類にしなければならない」と著者は言う。最後に歴史研究の社会的な責任として、「戦争調査会に学ぶべきは、社会に役立つ歴史研究の重要性である」と。

私たちの世代では東条英機等による戦争への突入などと教わってきたが、一読して感じるのは、誰一人戦争を目的としてはいなかった、そしてあらゆるタイミングで戦争を回避、または早く戦争を終結する機会はあったということ。

しかし、軍隊の中堅クラスの言動、国民による大衆主義(ポピュリズム)の流れ、マスコミのプロパガンダによる世論誘導などが複合的に戦争への扉を開かせたのではないかと思う。

最近の、A新聞などのマスコミ誘導や近隣諸国との紛争への誘発記事、イギリスのポピュリズムによるEU離脱アメリカのトランプ大統領の誕生など考えさせられる。そして、財務省による自衛隊への予算の締め付けと、頻繁に発生している自然災害への動員により自衛隊隊員たちの不満が爆発すれば気をつけなければならない。我々を守ってくれる彼らを尊敬し、むしろ基地のある地元のロータリークラブライオンズクラブに会員として迎え入れるべきだろう。昔、相馬原駐屯地のトップの方の講話を聞いた際、なかなかの人物であると関心した思い出がある。

一方、中国や北朝鮮の挑発により、必然的に日本の自衛隊の軍備増強が叫ばれている現在の状況では、条件が整備され始めている。我々は外交交渉のための軍備増強であって、本当に戦うための増強ではあってはならないと、いくらマスコミが国力を臭わせても心すべきである。

最後に幣原首相は「我 敗戦の原因何処に在るかは 今後新日本の建設に欠くべからざる資料を供するものなり」と終戦善後策の第4条に記載している。多くの人がこの「戦争調査会」の資料に関心をもち、様々な意見の交流を望みます。