markdadaoの日記

真空管アンプ用トランス、スマホ用衝撃吸収フィルム、RC、政治経済、読後感想など

Marshall JTM45に使用されているトランスについて

f:id:markdadao:20170914224143j:plain

最近、熱心に質問をされているユーザーとのメール返信の概要を、弊社技術顧問のアドバイスによりブログ用にまとめました。

 

 

1962年製と表記されていますが、JTM45はプロトタイプで世には出ていないと聞いております。実際販売を始めたのは1963年製からです。63年に制作されたOffset Chassisと呼ばれる、とても歴史的に貴重なJTM45で間違い無さそうですね。キャビネット正面から見て右側いっぱいにシャーシを片寄せて取り付けてあるアンプで、こうするとかえって重量バランスが良くなるのです。写真のトランス類はRSです。DELUXEと呼ばれている出力トランスに、合わせカバー上部に一次側電圧セレクト切り替え機構を持つ電源トランス、お手本のフェンダーに比べてとても大きなインダクタンスのチョークコイル、その他トランス以外にもポットのツマミ等々にもこのアンプの特徴がみられます。

 

RADIOSPARES(RS)のDE LUXEと呼ばれている出力トランスですが、63年から65年後期まで採用されていたもようです。ただし、実際はその時期にはHY GRADEという名称だったとのでは?と思われます。いくつかのマーシャル本に掲載されてきたRSのトランスカタログによれば、間違いなくその仕様のトランス(JTM45に採用されているもの)はDE LUXEという名称になっていますが、そのカタログの日付は65年11,12月となっていますのでその頃表記に変更があったのではないでしょうか?アメリカの名だたるアンプビルダーやテク達もDELUXE表記のJTM45は一度も見たことが無いと証言しています。それからRSよりトランスを仕入れたのは65年までというのは間違い無さそうです。なので、ちょうどその過渡期に制作されたあの「クラプトンスペック」と呼ばれるBブレーカーにはRS、またはDRAKEどちらのトランスが載っていたのかいまだに判明していないのです。

JTM45の条件はアルミシャーシーでOPTは6.6か8Ωを使用し、真空管はKT66。またPTのB電圧は310V-0-310Vと低く設定されています。そして音質を重視し出力容量は30Wです。マーシャルはその後量産を始め、OPTは3.4KΩを使用しはじめ、容量は50Wとなり本来のJTM45から違うものとなりました。

それから、マーキュリーのレプリカトランスは外観から細部の仕様に至るまで相当研究して製作していると評価いたしております。出音についてはあくまで個人の好みとなりますので、簡単には評価できないと常々思っています。弊社としては、現在入手できる最高の材料に長年の経験技術をフルに生かして、当時の本当に生きの良い音を再現するべく製作に取り組んでおります。JTM45については私達は、64年初期〜66年初期あたりのものをイメージしております。以下に協力企業のホームページアドレスを記します。

製品案内 - 変圧器・トランス・フィルムのアテネ電機