なぜあなたの予測は外れるのか――AIが起こすデータサイエンス革命
- 作者: 小松秀樹
- 出版社/メーカー: 扶桑社
- 発売日: 2017/02/01
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログを見る
サブタイトル「AIが起こすデーターサイエンス革命」著者はNPO法人ビュー・コミュニケーションズ副理事長の小松秀樹氏。抜粋を以下に記します。興味のある方は購入を。
- T・AI(時間の人工知能)とは「逐次に投入される時系列データ(販売数量、出荷量)から、瞬時に膨大な計算実行。指標判定がなされ、最適な生産量・発注量・在庫量が出力される全自動システム」。
- T・AIの特徴は、時間とともに規則的・不規則的に変動する諸量を最適にコントロールできること。
- T・AIシステムは「予測AI」と「誤差制御AI」で構成される。
以上により、専門家でなくても簡単、大量、高速、高精度の最適な生産量・発注量・在庫量の結果を実現できる。
- 予測が外れるからダメというのではなく、外れにどう対応するかによって、その後の結果が大きく異なってくる。
- あらゆる予測はホワイトノイズ(不規則変動)が存在するため、どんなに厳密に変動規則性を予測しても必ずズレる(予測誤差が発生する)。
- 予断を持たずに、最新のデータをとり、散布図を作成するなどをして判断。我々はとかく面倒なあまり、結果ありきの理由付けをしたがる。弱い相関で強い因果を主張しない事。
在庫は瞬間的に捉えず、一定期間の平均在庫として把握することが大切。
- 予測誤差はホワイトノイズとなる。
- 在庫は予測誤差を累積させたもの。
- 在庫管理には予測誤差の制御(誤差発生後に加減する)が重要。
- 誤差制御すると在庫変動はホワイトノイズとなり最適化される。
無意識のうちに自動反応してしまう10の対人関係心理。
- 「返報性」受けた恩義に対し報いなければならない。
- 「一貫性」一貫していることは望ましく適応的である。
- 「容姿・みだしなみ」外見が良い人は望ましい特徴があると自動的に考える。
- 「類似性」自分に似ている人を好む。
- 「協同性」自分の味方になってくれる。
- 「お世事」他者からの賞賛を信じ、それを与えてくれた人を好む傾向がある。
- 「連合性」望ましいこと、望ましくないことと相手とを結びつけて捉える。
- 「多数性」他者がどうしているかにより自分の行動が適切か判断する。
- 「権威性」権威への服従は自分のためになると考える。
- 「希少性」機会を失いかけると、その機会をより価値のあるものと見なす。
社会心理学者R・Bチャルディーに「影響力の武器」の中で、「加速度的な勢いで情報の氾濫が進行している現代社会においては、思考を伴わないこの種の承諾が将来煩雑に生じるようになる」と述べている。
- 「虫の目」予見できない大きなショックが起こった時は、前年比ではなく直近データを見て、こまめな修正を半年から1年繰り返す。(T・AIはこの作業を自動的に行う)
- 「鳥の目」長期思考決定をする際は、回収期間の2〜3倍のデータをとり、全体を俯瞰して判断。
需要と生産のギャップが在庫。このギャップの解消は望ましい事。生産性も向上させる。しかし我々は一度大きなショックに見舞われると、過度なリスクを認識しそれを固定化してしまう傾向がある。(オイルショック以降の石油備蓄について)
在庫変動が健全に保たれているかが経営健全性のバロメータ。
人とT・AIとが上手に協業できる環境を構築する事が大切。計算はT・AIにまかせ、その計算目的や前提、役割分担は人がおこなう補完関係が大事。人対コンピューターという単純な図式で考えない事。
アップルの製品の成功は、人が求める機能やコンテンツを重視し、余計なボタンを減らし、単純で直感的に使いやすい製品を提供したからだと考えられる。
日本の縦割り社会の強みと欠点を理解し、横串の技術の重視と強化を迅速に進める事が重要。アメリカのデータサイエンス教育を日本で行う事ではない。製造業にかかわるIoT関連で日本にチャンスがある。現在AIと呼ばれ注目を集めている技術は、大量のデータからの「学習」がうまくできるようになったためで、その意味ではビッグデータ時代の落し子である。現在のAIの基礎技術は柔軟なデータ解析手法である。