markdadaoの日記

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「江戸の味を食べたくなって」を読んで「寿司を知る」

 

江戸の味を食べたくなって (新潮文庫)

江戸の味を食べたくなって (新潮文庫)

 

 

池波正太郎著の「江戸の味を食べたくなって」を読んでいると、寿司屋でのマナーやイワクを知ることができる。こういうことを教えてくれる先輩も最近はいなくなり、ここにあらためて抜粋することにする。内容は銀座「菊鮨」の細井主人、神田「花ぶさ」の今村料理主任と池波正太郎の対談形式で綴られている。

 

 

「昔のような薄いほっかりした卵焼きを食いてえと思うんだがねェ。」「あれ、やりたいですね。エビをすりつぶして・・・。」「あれやっているのは、京都の松鮨だけで、あとはみんな厚くなっちゃた。」

 

「ワサビでも昔は、サメかカワハギの皮をカマボコの上に置いて、おろしたものでした。・・・・最初の1年ぐらいは大根をおろして、カドをつぶしちゃったあとで、ワサビをおろす。おろしづらいですが、その代わりに粘りが出てきますから。それを包丁の峰でさらにたたいて、なお粘りを出してお客さんにつける。それをいきなり醤油にほうりこまれると、本当に情けなくなりますよ。」

「刺身一切れごとにワサビを乗せてから醤油へつける。それでワサビが100%生きるわけだ。ついているシソの実だって、いきなりしごいて醤油に入れるものじゃないよ。口が生臭くなったら、一粒とって口に入れればいいんでね。まァ、醤油にワサビをといて食うものもあるんだが、マグロの赤身なんかはある程度といた方がよいだろうよ」

 

 「鮨屋の隠語を使う客はいやだろう。シャリがどうしたなんてェのは。」「変にガリだとか、あがり一丁なんていわれるより、しょうがとかお茶と言われた方がやりやすいし、正直だと思いますね。」

 

 「昔は鮨ははしで食べたもんだ。ただ屋台の鮨屋が、はしを出すのが面倒だから、手で食わせたわけなんだよ。おはしの方がいいわけですよ、本質的に・・・」

 

「とにかく料理を食べるには、やっぱり常識というものがある。天ぷら屋で、揚がってくる天ぷらを脇に置いて会社の悪口をいっているのなんか最低だよ。店屋は最適の温度で出して来るんだ。俺の爺さんは職人だったけど、鮨屋と天ぷら屋は長っ尻しちゃいけねえよ、と連れてかれるたんびにいわれた。」

 

そういえば昔、誰かに言われたな。天ぷらを揚げてから、鮨を握ってから酸化が始まり味が変わるので、出されたらすぐに食べる方が良いと。

「ざるそばのワサビはタレに溶かすのではなく、そばに直接つけて食べろ」とか、「ざるの中央から手繰る方がそばが食べやすい」など、池波正太郎の何かの本に書いてあった。

祖父は「ひ」と言わず「し」と言うほどの明治生まれの江戸っ子の大工であったが、そばをどうやって食べていたか記憶がない。しかし「江戸っ子は濃口のたれにちょっとつけ、喉越しで食べる」ということも誰かに教わった。が、子供の頃は出前より、そば屋に行って食べた方がつゆのお代わりができて良かった。もう一つの楽しみは夏のかき氷をそば屋は出してくれた。そば屋でついてくる「刻みネギはつゆに入れるのではなく、箸休めのようにネギを口に入れ、またそばをすする」と言うことを教わったこともある。

外国人はヅルヅルとすする行為はマナー違反だそうだが、そばはヅルヅルとすすらなければ旨さは出てこない。何が常識だかわからないが、食を楽しむための最低限のエチケットは学びたいものだ。