markdadaoの日記

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平山郁夫画伯の「悠久の絹の道」 

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地元出身の福沢一郎画伯を記念した美術館があるが、個人的にはあのオドロオドロしい前衛画が馴染めず足が遠のいていた。もっとも、「福沢の良い作品は、ほとんど世田谷の福沢一郎記念館にある」と、亡くなられた大川先生がおっしゃっていたな。

大川栄二先生語録その1 - markdadaoの日記

しかし、平山郁夫の企画展を富岡で開催されることを知り訪れる事を楽しみにしていた。

 

開催前日の4日の夕方、ロータリークラブの松倉先輩の病気見舞いにお伺いした際、病室に企画展の大きなポスターが貼られていた。病の話もそこそこに、平山画伯の話に弾む。ちょうど松倉先輩の出身地と平山画伯の出身地井口島は海を挟んだ位置にあるそうで。そして今回の企画展には3年間の準備期間があり、その中心となってご尽力を果たされたそうです。

日曜日の昼ごろ富岡市立美術博物館(福沢一郎記念美術館)を訪問。第1会場の中央に「パルミラ遺跡を行く・朝」と「パルミラ遺跡を行く・夜」の迫力に驚かされるが、その隣の「絲綢の路・パミール高原を行く」はそのキャラバン•ルートの厳しさが気になる。作者はこの絵で画家としての再出発の意思決定をされたそうだ。

昭和に描かれた背景の緑の特徴あるタッチから、平成7年前後からの線描は我々素人にも絵のメリハリを感じさせる。「薬師寺」の背景の山の稜線の線描は、山の重なりを錯覚させる効果もある。その線描の進化は「高句麗古墳江西中墓 朱雀」に現れていると感じた。

展示方法で残念なことは、例えば「朧月夜・ブルーモスク・イスタンブール」などトーンが暗い絵の額のガラスのおかげで鏡のようになり、真正面から観ると自分の顔を見ているようで、肝心の絵が見えにくい。明かりや、絵の角度、またはガラスの反射を抑える工夫はできないものか?

一貫して作者の絵から訴えているのは「平和」だと言われている。例えば「バーミアン大石仏を偲ぶ」など人間の愚かさを語っている。戦争の悲惨さを直接表すのではなく、歴史の事実を淡々と描き、我々に絵から感じさせるその寛容さに気づく。

富岡市立美術博物館・福沢一郎記念美術館 | 富岡市