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markdadaoの日記

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「ニュースカメラマン」を読んで

読後感想

 

ニュースカメラマン―激動の昭和史を撮る (1977年)

ニュースカメラマン―激動の昭和史を撮る (1977年)

 

 

サブタイトル「激動の昭和史を撮る」の著者藤波氏は明治42年三重県に生まれ、ニュースカメラマンとして激動の昭和史の証言者の一人である。ニュースカメラマンという職業は歴史の直接の目撃者にもなりえる。したがって内容は誠にリアルである。

中国大陸での戦火、太平洋戦争の前夜と戦中の出来事。広島、長崎での原水爆の取材。最後に東京裁判の記録取材と貴重な体験録である。人には運不運があるが、著者の生きながらえた強運は、この「ニュースカメラマン」を著したことで、歴史の記録として大きな役割を果たしていると感じる。

最初は記録映画とその機器やスクープについてだが、その後中国大陸での戦争カメラマンとしてのリアルさゆえ、ページにのめり込んでゆく。

その後、太平洋戦争へ突入してゆく日本を市井の一人としても描かれている。また戦中の前線での出来事や、ボルネオでの従軍記もノンフィクションとしての重さがある。敗戦後の焦土と化した日本や原水爆の惨さを事実に基づいて綴っている。最後に東京裁判での清瀬弁護士の主張が圧巻である。

著者の最後のページの一節を以下に記す。

 「私は原爆映画製作者の一人として、また東京裁判の記録映画製作者の立場から、狂気と不合理がまかり通る戦争というものの現実の姿を真正面から見てきた。そこには文明も人類の叡智も影をひそめ、人間の業の深さのみを見る思いがあった。」

この本は是非、大正昭和の近代史を十分学ぶことができなかった、団塊の世代の人たちにも読んでいただきたい内容です。