markdadaoの日記

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「戦略がすべて」瀧本哲史著を読んで

 

戦略がすべて (新潮新書)

戦略がすべて (新潮新書)

 

 

青年会議所時代、先輩のAさんより戦略と戦術について教わった。戦略と戦術は目的と手段(方法)と理解し、事業計画立案時に参考としていた。「戦略ミス」はあるが「戦術ミス」は聞いたことがなく、戦術は無限であり、いろいろなアイデアをもって目的達成する手立てとなる。

この本の最終章に一番大事なポイントが以下の通り記載されている。

意思決定はそのレベルに応じて「戦略」「作戦」「戦術」の三段階に分かれ、平均的な日本人が注力しているのは「作戦」「戦術」レベルまで。「戦術の失敗は戦略で補うことが可能だが、戦略の失敗は戦術で補う事はできない」。したがって「戦略」を考えるというのは、今までの競争を全く違う視点で評価し、各人の強み・弱みを分析し、他の人とは全く違う努力の仕方をすること。

 

以下は「なるほど」と合点した内容を忘備録として箇条書きする。

p25.「 プラットフォーム」ビジネスとして、自分はどのようなブランド、サービスを提供すべきなのか? どのような価値があるのだろうか? どうやったら人から必要とされるのだろうか?

p39.「勝利の条件」は本質を見抜くこと。オリンピックを例に、自国中心的な発想ではなく、その本質は「スポーツマンシップによって国際交流を深めること」であり、そこに誘致戦略を立てた。

p45. 我々が築き上げるべきは、時間と共に価値を失い、メンテナンス負担が増えていく「ハコモノ」ではなく、時間と共に成長する無形資産である「ブランド価値」なのだ。

p76. 次世代のコンテンツビジネス業は粗製濫造のネットメディアと、少数精鋭のクオリティメディアに二分され、住み分けができていくのではないだろうか。

p87. 企業で働く人は、まず、「自分がいる会社を時代の変化に即して変えていくこと」に努力すべき。

p89. 自分が属する業界のことを知り尽くし、かつ、新しい仕組みについてのアイデアを持てば、起業は成功する確率が高い。

p92. シニアの仕事は若手をうまく泳がせることである。若者が脚光を浴びるとき、裏にはベテランのパトロンがいるというのが歴史の真実である。

p108. 資本主義というものは、少数意見が、既存の多数意見を打ち破り、新しい多数意見に変わっていくプロセスにおいて最も大きな価値が生じる。

p118. 教養として知識を学ぶことと同様の努力をもって、多様な人的ネットワークを構築することが個人の「教養」を深める方法として有益。

p140. 主張が極端であれば極端であるほど、ごく一部の人間を深く「ハマらせる」構造になっているネットの世界では、危険な思想を助長させやすい。

p163. 教養の一つの機能は、アラン・ブルームの言葉を借りれば「他の考え方が成り立ちうることを知ること」にある。

p170. 新卒をゆっくり成長していくポテンシャルある存在としてではなく、即戦力として働かせ、それを実現するために会社があらゆるリソースを使って成長を促す

p214. 淘汰される企業は、社会に必要とされいているものを、必要とされているコストで提供できていない企業であるから、社会的資源を無駄にしているのであり、これを保護するのは社会的に有害である。

p219. 自治体同士の競争を促し、住民の移動という「足による投票」によって、強い自治体への統合を目指したほうが良い。

かの京都ですら、明治維新の際の遷都によって人口の約三分の一を失ったところから、様々な施策をとることによって復活を遂げたのである。