markdadaoの日記

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「人生の薬味」とは?

池波正太郎著の「最後の映画日記」を読んだ。本来なら映画の脚本や女優や男優の批評に印象が残るのだが、シャルル・ボワイエの自殺におもう、をテーマに「未知の、老残の光景」の目次に「心残りがないように」の内容が気になる。

このように人間は、他人の死に何度か立ち合う事によって、おのれの死のイメージをととのえてゆくものなのだ。

・・・・・・いまも3日に一度は、そのことを想ってみる。

・・・・・・絶えず死ぬ日の事を考えていて、死に慣れ親しんで行きたいと私はおもっている。

 

次の「人生の薬味」では

その一方で、人間という生き物は、たとえば一椀の熱い味噌汁のうまさにも、生き甲斐を覚えるように作られている・・・・・。

人間は生まれてより、ただちに死に向かって歩み始める。

生物は死ぬために、生まれてくるのだ。

こんな災厄が、またとあろうか。

自分の死を想う事は、自分の人生の薬味である。

若い頃から、この薬味の味を知っておくと、気軽に生きられる・・・・・

・・・・安らかに死ぬ事はやはりむずかしい。

 これらは60〜61歳頃書かれており、68歳で没するので、無意識の中に死生観に関心があったのかな。

 

最後の映画日記

最後の映画日記