軽井沢の追分のそば屋のトイレにこの「青春」の詩が貼ってあった。一時流行り、年月が経ち、自分もそのような歳になり、ことさらこの「青春」がトイレの中だけにかぐわしい。
Samuel Ullman の直訳した詩の中にはこのような節がある。
人は信念と共に若く 疑惑と共に老いる。
人は自信と共に若く 恐怖と共に老いる。
希望ある限り若く 失望と共に老い朽ちる。
you are young as your faith, as old as doubt ;
as young as your self-confidence, as old as your fear;
as young as your hope, as old as your despair.
このキーワードである「信念」「自信」「希望」は純粋で何の怖さも知らず、胸を張って生きている時代にはあった。しかし「疑惑」「恐怖」「失望」は世間の厳しさを知って、人生の重みを感じる頃、胸に押し寄せた言葉だ。
実際に歳をとれば白髪が増え、皮膚はしわだらけになり、あちらこちら身体の故障が出てくる。これらのサインをもって歳をとった事を知るわけである。それを青春は心の様相だと言えば、「信念」「自信」「希望」だけに目を向け、「疑惑」「恐怖」「失望」には無関心になれば良いのだが。残念ながら長く生きてきたので、人生のゲームが読めてしまい、無関心を装うには無理がある。
もし「青春」を維持したいならば、他人からの罵詈雑言に耐えることから始めなければならない。「あのじいさん、あんな歳になっても、いつまでも馬鹿な事言っているよ」 と。