markdadaoの日記

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東京府から東京都へ

大阪で二重行政の是正を目的に、大阪府大阪市を統合し大阪都への住民投票が行われた。ご存知のとおり僅差により統合は廃案となった。

一方、東京都は東京府東京市の二重行政是正のため昭和18年改訂された。これはたまたま荒俣宏著による「江戸の幽明」の東京総覧と江戸細見の項に書かれていた。因に、この本で知ったのだが、著者は同じ中学校に通っていた2年先輩であった。

 

明治政府は明治2年2月に江戸を東京府と改めた。明治4年4月に戸籍法を公布し、7月には廃藩置県を行った。そして東京は人口バランスを基に大区小区制を導入。明治11年7月に新しい法律が公布され、郡区町村編成法により大区小区制が廃止され、東京府のなかに東京市が生まれた。

その後、東京市は多くの地域を吸収合併することになる。これは東京市の区外の町村部が、税法や学校建設の資金調達の面からも東京市に編入を望んだからである。その結果、東京市はその上位にある東京府との二重行政の弊害が目立ってくる。そして太平洋戦争に突入した昭和18年に東京府は「東京都」となり、同時に東京市は廃止された。

 

これは当時の「戦時法制」の一貫であり、住民意思の有無は無かっただろう。しかし、大阪都構想は民主主義のもと住民投票で是非を問いた。この問いかけは1958年に構想され、2000年の太田房江元市長が唱えており、2011年の大阪市長大阪府知事ダブル選挙で維新の会へ圧倒的な票数が流れ、住民はその公約を是認していると見えた。そして先月の住民投票で意見は割れた。不思議なことに、各政党は全て維新の会の主張に反対をした。これらの経過を辿れば、各政党も半々に分かれると考えていたのだが。

大阪都になっても各政党は国政選挙に影響はないのだが、ただ市議会議員の席や地方公務員の削減、及びそれらの利権につながる企業、なにより変化を好まない高齢者の意思が反対票となったのだろう。

身近な市議選でも、有権者は自分のため、生活する周辺地域のためが、投票の判断理由になることが多い。大阪市の人口は約270万人で私の住む群馬県は約200万人であることを考えると、市と府による無駄はあり得ると思うのだが。しかし、この町の将来や隣町との連携などを考える人は極めてまれである。ここに民主主義による住民投票の難しさがあるのだろう。

危険かもしれないが、子供や孫の時代のため、今は大変だろうが大きな決断をする、優秀な政治家の出現も大事かもしれない。