うちの電源トランスAGPT-01, 出力トランスAGOT-05,チョークコイルAGCH-04を搭載し、ハンドワイヤリングしたオールドマーシャル(Marshallの最初のタイプ)をアンプ・アドバイザーが作った。
ハンドワイヤリング(手ハンダによる配線)について、コメントを記す。
プリント基板では、同一プレート上狭い面上に信号ラインをはじめさまざまな電気的経路が同居します。結果的にその経路間に何カ所も静電容量が隠されている事となります。これは実際にメーターで測ればわかりますが、大体10~20pF程度の値が各所で計測されます。これに対しポイン・トゥー・ポイントのハンドワイヤリングの場合、その静電容量を持つ事がありません。
結果的にプリント基板回路においては、ギターと真空管アンプ回路によってせっかく生まれた心地よい倍音やハーモニクスが、この隠された静電容量によりアースに漏れてしまう結果となります。一方、ハンドワイヤリングアンプでは、それらが失われずに回路を通った信号は、スピーカーから気持ち良くプレイヤーやオーディエンスに届けられるというわけです。
実はこのプリント基板の技術はすでに1953年初期より世に出ていたそうです。当時のアンプビルダー達があえてその技術を導入しなかったのは、トーンの違いがわかっていたからでしょう。
残念ながら、近年のギターアンプの多くはプリント基板によるものです。アンプの製作時間が数日間から、数分間レベルまで短縮され大いにコスト削減となりますから。また、基板上に取り付けるCR類も極限まで小型化し耐圧等の余裕もほとんど加味していないものが多く見受けられます。本当に残念ですが、現代では多くのギターアンプが楽器として作られていない、というのが実感です。
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