音響機器であるギターアンプだが、電源トランス自身がハム・ノイズの発生源となるため静電シールドやショートリングは必ず取り付ける。
永年の経験上、設計する際、磁束密度を低く抑えた方がノイズの発生が少なく、更に有効な事は出力回路に想定外の突入電流が流れ、B電源用に巻かれている銅線の絶縁不良の発生を防ぐ可能性が高まる。
しかし、磁束密度を抑えるという事はトランスが大きくなるか、高価な鉄芯の素材が必要となる。要は材料コストが高くなるという事。従って市場が小さく量産しにくい真空管ギターアンプのトランスの値段が上がり、コストパフォーマンスを考えると設計上無理をしたトランスが主流となっているのが現状である。
1960年代はグループサウンズ最盛期で様々なアンプが市場に出て、各社切磋琢磨していた。しかしグループサウンズが下火となり、アンプ屋さんは減少し、トランスもコストを下げる為に海外生産へシフトしていった。
私は真空管ギターアンプ用のトランスも楽器の一つであると言う考えがある。それは回路、真空管、電源トランス、出力トランスそしてスピーカーで音が決まると、バンドをやっていた学生時代の経験がある。
うちの電源トランスは磁束密度に余裕をもたせ、最高の素材を使用し、経験豊富な製造技術で作られている。不思議な事に音は記憶できないので、うちのトランスが内蔵されているアンプとそれぞれ瞬間に切り替えて聞き比べをすると良くわかる。
気持ちよくプレーできるプレーヤーの為に作る事を目指しています。次の機会に出力トランスについて書きたいと思います。