上海蟹は今が一番良い季節だそうだ。これより寒くなると身が旨くないようだ。
このような蟹は近隣でも穫れるのだが、味は違うと上海っ子達は言う。もちろん私など、これが上海蟹だと出されればありがたく食べる。しかし、観光客用のレストラン(ワイタン近くにある上海蟹で有名な店)で食べた事があるが、ちっとも美味しかったと言う印象はなかった。臓物の黄色いところが玉子の黄身のような味で、それならば本物の玉子を食べた方が旨いと思っていた。
今回、協力会社の社長が私が来訪するとの事で、事前に上海蟹を手配しておいた、そしてレストランに持ち込み、料理をしてもらった。
一通り料理が出た後、メインディッシュの上海蟹が出て来た。今回は4人で食べたのだが、さっきまでの会話が消え黙々と蟹を解体しながら食べる。以前、ワシントンD.C.の郊外で食べた、香辛料の効いた蟹の専門店での状況が再現された。あちらでは茶色の大きな紙製テーブルクロスが出され、その上に多くの蟹が山盛りにばらまかれ、皆はさっきまで飲んでいたビールもそのままで、蟹用フォークも使わず素手で格闘を始める。最後に残骸を紙製のテーブルクロスで包み片付ける。
中国では机の上でも下へでも、口からペッペと余分なところを吐き出す。専用フォーク等なく、最初から素手で始める。雄雌の腹の形状は違うが、ほとんど同じ工程で解体しながら食べ尽くす。
1. 腹を剥がし、その剥がした中にある黄色い玉子味のものから全て食べる。
2. 甲羅を外す。そして本体の左右にあるエラを丁寧に取り除く。これは雑菌があるかもしれないので食べてはいけない。
3. 甲羅の中身を食べる。人によっては酒を注ぐ人もいる。
4. 甲羅と腹を取り除いた蟹は中央から縦に割る。向きがあるが簡単に割れる。
5. 脚を外しながらその根元を食べる。食べやすいように脚の本数を減らしても良い。
6. 脚の間接から折りながら、中身をチューチュウー吸い出しながら食べる。
7. そのまま食べても旨いのだが、嗜好を変える為に酢醤油へ付けて食べることもある。
私は雄雌1杯づつ食べ、蟹の身と肉を十分堪能した。以前食べた時は蟹自身が小さかったのか、シーズンでなかったのかもしれない。上海蟹が有名な事が、今回の事で理解できた。