markdadaoの日記

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「ちじらんかんぷん」を読んで

サブタイトルが「庶民の生きた明治・大正・昭和」という身近な記録を佐賀純一さんという方が1992年に初版を出された。発行元は株式会社図書出版社。

最近は新刊書で本の虜になるようなものが少なく、古本屋を覗く事が増えてきた。と書けば、相当な読書家と思われるだろうが、右目が緑内障で左目が白内障では文字を追っかけるのが億劫になり、よほど魅された内容でないと手に入れる気がしない。

しかし、この「ちじらんかんぷん」は当時の生きていた人々の息づかいを感じて、ページをめくるのが惜しいくらいであった。
そもそもこのタイトルは茨城に伝えられている呪文で、私なぞが使う「痛いの痛いの飛んで行け」と同じような内容である。そしてこの作者は医者で、各家々を廻り、年寄りの昔話を活字にし、15話をまとめている。
時は明治時代だが、人間の業と言うか性と言うか現代も左程差がない事に気づく。人間を知る上ではノウハウ書や心理学書もあるが、このような口述筆記も実践的で面白い。
-わんぱく小僧(劣等生・鳥目・鮫とソース・百合と骸骨・光る足・金儲け・乞食の親分)
-お日帰りさまの村(鯉こく・真藤と蚊帳餅・お腰の功徳・白粉・助平たち・湯場回り・ち堕落の馬鹿・茶屋騒動)
-念仏小屋暮らし(ジャアボの楽しみ・シラミを煮る・すっぱい魚・狐憑き・銭箱)
-牛方の女房(狸・切り藁の匂い・一番鶏・狐の山・炭焼きになった夫婦・ぶち棒・花火)
-長屋の名医
-西の堂
-赤神さま
-最後の首切り役人
-火の玉お六
-うすごろ
-渡りの日々
-遭難
-月琴
-流人の山
-蚊帳を返しに来た男