markdadaoの日記

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ニッポン再起動を読んで その5

会社設立登記に依る会社開廃業率では、2009年の会社開業率が3.0%、会社廃業率が3.1%です。アメリカでは、開業率も廃業率もともに10%程度です。
このように日本では廃業率が低いこともイノベーションを阻害している要因の一つです。先行きの見込めない事業をやめて、発展の見込める次の事業を起こそうというダイナミズム、つまり新陳代謝が働いていないのです。
再チャレンジを支援して、開業率を10%に引き上げるにはどうしたら良いか、どんな法改正が必要かということも論議する必要があります。

日本では「行き過ぎた規制緩和」などという政治的にバイアスのかかったキャンペーンが広がり、改革は一気に後退しました。
規制と重税に嫌気のさした企業がどんどん海外進出を進める・・・成長力低下の最大の要因はここにあります。

アベノミックス特区の例としてイメージされる一つは、最先端の国際拠点としての東京です。アジアのヘッドクオーターを東京に誘致する為には、地域内で外国人医師免許での診察を認める、英語で教える小学校を認めるなどの規制改革が不可欠です。
「景色を変える」というキーワードを述べましたが、羽田にもう一本滑走路を設け国際線機能を倍増させることも必要です。そして羽田・東京・成田を高速鉄道で結ぶ。さらには東京の地下鉄を一元化し、都営交通を24時間営業にする。これらを実現すれば、アジアの拠点としての東京の形式は大きく変わるのではないかと思います。

世界にはいま、インフラの運営を手がけるグローバルな企業が存在します。
しかし日本に、そうした企業はありません。理由は単純明快で、日本ではインフラ運営を官が独占し、民間に関与させてこなかったからです。
国内での建設需要が減少する中、コンセッションは建設業界に生きる道を拓くものと言えるでしょう。

今の体制に利権を有するグループとそれを支える官僚組織があります。そこに事実を歪めて国民を先導するメディアが絡みます。政策プロセスに関する人間は、そうした勢力と戦う姿勢を持たなければ、成長は実現できません。

第1次提言としては、本章で述べた「アベノミックス特区」と「コンセッション」が間違いなく一つの核となるはずです。その上で、成長への改革論議を継続し改革を続けると言う宣言こそが、実は最大の成長戦略かもしれません。

完了