markdadaoの日記

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ニッポン再起動を読んで その1


竹中平蔵著の「ニッポン再起動」を読み、忘備録を兼ね記載する。

名目金利がゼロで、物価上昇率がマイナス2%なら、実質金利はプラス2%。日本は低金利の国ではなく、実質金利がそこそこ高い国ということになります。円の実質金利が高いから、円が買われて、円高になってきたのです。

これが円高のトリックであった。

私は日銀幹部に「もっとマネーを出したらいかがですか」と問いかけました。すると、「日銀のバランスシートが大きくなるから出せません」と言う答えでした。
日銀には通貨発行の特権が与えられていますから、バランスシートが膨らんでも問題はありません。自分たちのバランスシートを悪化させたとしても経済を良くしようと考えるのが中央銀行の使命です。ところが日銀幹部は、日本経済より中央銀行のバランスシートの方が重要だったのです。
よく「日銀の独立性」という言葉が持ち出されますが、言葉の意味をはき違えています。中央銀行の独立性とは、「手段の独立性」であって「目標の独立性」ではありません。中央銀行が勝手に政策目標を決める権利はなく、政策目標を決めるのは国民から選ばれた政府です。

私たちは、一時期新聞等の報道による「日銀の独立性」に振り回されました。

インフレ・ターゲットに関する論文を書いたポール・クルーグマンは「エクスペクテーションを変えることが一番重要だ」と述べています。期待(エクスペクテーションexpectation)というものは実現するものです。
例えば。みんなが「ゼロ成長になる」と思えば、誰もお金を使わなくなります。その結果、成長の原動力は無くなり、ゼロ成長に近づいていきます。反対に、「10%成長する」と思う人が多ければ、「儲かるかもしれない」と期待してお金を投資する人が増えます。それが好循環を生んで成長につながっていくのです。

希望とか期待を言い続ければ実現しますね。

リーマンショックに至る不動産投資の責任を取って、当時のシティグループのチャック・プリンスCEOが辞任しました。彼に対してこんな質問がされました。
「あなたは金融のプロなのに、どうしてバブルだということに気がつかなかったのですか」
彼の答えはこうでした。
「頭の中ではわかっていたのだけれど、音楽が鳴っている間、ダンスをやめられなかった」これはある意味で至言です。

自分一人だけ撤退するだけの勇気は難しいのでしょうね。

日本のメディアは歪んでいるといっても良いのでしょうか?メルケル首相の懸念の部分だけを取り上げました。「円安誘導」と言う言葉まで使って、日本に対して懸念が出たという部分のみを報道したのです。
メルケル首相の懸念に対しては、「ドイツはユーロー安によって、一国だけ漁夫の利を得ているではないか。そのあなたが言うのはおかしい」と言う意見が大勢をしめていました。

政治経済のエリートが多いマスコミなのに、何故前後の流れを省き「センセーショナルな単語」だけを拾いニュースとして流すのでしょうね。このようなケースは良くあります。

民間の委員が有効な戦略を提案しても、役人達が適当に取りまとめてしまいます。よく「霞ヶ関文学」と言われるもので、文言を一言二言換えるだけで、骨抜きにして全く別なものに変えてしまうのです。
最終的に成長戦略は、各省庁の予算要求案のようなものになって出てきます。「うちの省庁がこれだけの予算を使うことを認めてください」と言う成長戦略です。成長しなかった場合の結果責任に付いては明示されていません。

マスコミ・エリートと同様にエリートの役人もこのようなことを良くしてますね。私たち有権者がしっかり政治家を選定して、行政の現場を監督してもらいたいですね。

続く