立川駅そばの石井医院の石井君からメールをいただき、そこに添付されていた資料を読むと「目からうろこ」状態となり、ご本人の許可を得て転載させていただきました。
私など、腸がやられた時はうどんやおかゆを食べていましたが、これら形のある物は駄目、葛湯など流動物にするようアドバイスされてます。具体的な水分の補給量の数値や、「鼻をつまんでも大量の水分を取れ」など一読の価値はあります。石井医院：東京都立川市：外科：内科：整形外科：胃腸科：肛門科：ED治療：理学療法：男性型脱毛症
石井医院よりのお知らせ 2012.12.28
ノロウイルス(感染性胃腸炎)！？こんにちは，最近の報道では盛んにノロ、ノロと書かれ不安な毎日の皆様かと思います。ただ，色々な報道を見ていてもまちまちで、私たち医療従事者でも混乱してしまうことがあります。そのため，過度に皆さんが反応しすぎているように思います。
現在報道などで盛んに言われている感染性腸炎の原因はウイルス性と考えてよいでしょう。細菌あるいはウイルスなどの感染性病原体による嘔吐・下痢・上下腹部痛などを主訴の疾患を感染性胃腸炎といいます。その際の症状には上記のほか発熱･頭痛などの症状を呈することがあります。一般的には年長児や成人では細菌性腸炎，乳幼児ではウイルス性腸炎が圧倒的に多いとされています。
そこで皆さんにも読みやすくわかりやすいようにQ&A形式で本章について私なりの意見を書いてみます。Q：症状は？
A：①嘔吐②下痢③上下腹部痛④発熱④頭痛などの訴えがあります。
勿論個々の症例で上記の全部が出現することもありますが，特に上腹部痛の強い人，下腹部痛の強い人と色々あります。痛みは間歇的(時々押し寄せるよう)に出現することが多いです。40度近い高熱を伴ってくる人もかなりいます。また，頭痛を訴える人も結構います。Q：診断は？
A：平成19年からノロウイルス抗原を迅速に(前処置も入れて約30分で判定できる)検出するキットが出ましたが，現在その検査キットは多くの皆さんには健康保険の適応になっていません。(保険適応は①1歳未満②癌の患者さん③AIDSなどの免疫不全の患者さん…)
ただ,疑わしい患者にこの検査を行うと実際には大部分がノロウイルス陽性と出ることがあり現在大流行している感染性胃腸炎は殆どがノロウイルス腸炎と考えても過言ではないと言われています。
結局，私達は通常臨床症状から診断をすることになります。Q：治療は？
A：１．大事なことは「おかゆやウドンのように、形のあるものを食べるのは避けてください」ということです。色々と言われておりますが、当院ではなるべく消化管の中に形のあるものは通さず、流動物にしてくださいと言ってます。つまり，｢おかゆとウドンが一番悪い！｣と申し上げております。お勧めは片栗粉を溶いたもの、葛湯，ただのゼリー(果肉の入ったものは避ける)などです。薬局にあるOS-1は飲む点滴として有効です。若い人は片栗だの葛湯と言っても知らないでしょう。ウィーダインゼリーなどよいと思います。但し，ヨーグルト，プリンなどの乳製品は避けた方がよいでしょう。吐いたり下痢したりすると身体の中の電解質のバランスが崩れます。Na・K・Clなどです。これらの補給は、皆さんよくご存知の商品名ポカリスエットなどのスポーツ飲料がよいでしょう。
発熱・頭痛には通常の解熱剤や頭痛薬で対応して結構です。抗生剤は不要。２．どのくらい水分を取ると良いでしょう？
成人の水分の摂取量は、点滴では体重あたり40mlといわれております。そして経口的に普通の人は50mlと言われています。子供は50〜100ml/kg，幼児は100〜140ml/kg，と言われております。
食事を取らないことを考えると，やはり体重×40ml/日の水分は必要でしょう。
Q：仕事や学校はどうしたらよいのでしょう？
A：原則、食べ物を扱っている人、医療従事者，保育園や学校の先生は、症状がある間は仕事には就かないほうがよいと思います。もしあなたの勤め先で感染が広まったら、あなたのせいにされるかもしれません。Q：会社には何と言えばよいのでしょう？
A：｢ウイルス性の胃腸炎｣といわれましたと言ってください。もしも｢ノロウイルス？｣と聞かれたら,｢特にノロとは言われませんでした｣と言ってください。ノロウイルスは決してそれ自体が恐ろしいものではありません。結局下痢と嘔吐などによって脱水になったり、電解質のバランスが崩れて重篤な症状になるのです。ですから十分な水分の補給と電解質の補給を行うと、ちっとも怖くはありません。
ワンポイントアドバイス：
①吐き気が強いとき、何も飲んだり飲ませなかったりしていませんか？
二日酔いを思い出してください。二日酔いのつらさは胃袋がひっくり返ったまま出てきそうですね。皆さんもよく｢出るものがなくなって、胃液が出てきた｣とおっしゃいます。何か胃袋に入れておけばよいのです。鼻でもつまんで、大量の水分を飲んでください。気持ちよく吐けます。
②胃腸炎のときの薬の袋には、服薬の仕方が食後とか食前と書いてありますが、あれは形だけと考えてください。
③いつも飲んでいる薬で、血圧や心臓の薬は普通どおり飲まれてよいでしょう。但し糖尿病の薬は休みましょう。
