「逆境を愛する男たち」の著者小島直紀が佐藤一斎の「言志語録」の一節を記している。
自分は視(現象を見る)、観(本質を見る)、察(全体の実相を把握する)を一生に配して考えると、三十歳以前は視の時期らしい。三十歳から五十歳の間は観の時期で、五十歳から七十歳の間は察の時期に当たるようだ。
察の時期には知命・楽天の境地に達し得るべきであるがあるが、自分はもう六十六歳になるというのに、深い道理のある境地にいまだ入る事ができないのでいる。いわんや知命・楽天の境地は望めない。余命いくばくもない現在、自ら励まなくてはならぬ。
「天を楽しみて命を知る」という事だそうだが、与えられた命の続く中で大偉人の佐藤一斎が「自ら励まなくてはならない」とさえ言っている。我々凡人は一体どうしたら良いのだろう。