markdadaoの日記

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緊張の緩和

笑顔 - markdadaoの日記で笑顔について書いたが、その笑いは桂枝雀は「緊張の緩和による」と言ってました。それが、「ドナルド・キーン自伝」で1964年頃、東京ーモスクワ間の空路開設当初、彼が滞在したソ連を出国する際「緊張の緩和」を集団で体験したことが記載されていた。

飛行機に乗ってからも、私は緊張していた。ソ連国民が最期の瞬間になって、なんかの理由で飛行機から降ろされたという話を聞いたことがあったからである。ついに、飛行機は離陸した。次の瞬間、誰もがはじけるように笑い出した。何か、おかしいことがあったわけではなかった。笑いは、緊張から突然解放されたことが原因であったに違いない。スウェーデン人のスチュワーデスが言った、ストックホルムに向けて飛び立つ時は、いつもこうです、と。

20数年前私が乗った中国の国内線で、目的地に着陸した瞬間乗客のほとんどがどよめき、そして笑顔で拍手をしていた。これも緊張の緩和で生まれた笑いであったのだ。それも当然、天津市の街中でタクシーの床がところどころ抜けており、疾走する道路が見え、排ガスが入り込むので寒い中を窓を開け、四つ角を曲がる時ドアが開き落ちそうになった私としては、ロシア製のタクシーとこの飛行機には別な意味で拍手する気持ちがわかる。
現代は「ドッキリカメラ」等で、種を明かされた当事者が安堵と笑いで話が終わる。しかし、種明かしがあった後でも、本気で怒って仕掛け人に殴りかかる人もいる。これはまだ緊張が解きほぐされず、怒りから笑いに辿りつくまでの時間差の問題なのか?