markdadaoの日記

真空管アンプ用トランス、スマホ用衝撃吸収フィルム、RC、政治経済、読後感想など

トランスの解体から再生へ


レアーショートした電源トランスを再生依頼を受けた。仕様が完全にはわからず、トランス外装は黒色の樹脂充填されたものを削り取られた状況であった。
依頼主の要望は、モノアンプを2台使ってステレオにしているので、特性、取付ピッチを同等にして載せ替えたいとのこと。従って、取り付け金具は現品を活用し、コイルを丁寧に解体し線径、巻数を調査することにした。
製品を乾燥炉に入れ、温めてからコアを外すこととした。ワニスと樹脂で固められたコアは、なかなか引き抜くことができない。コアをボビン一杯に入れようとして、2箇所に2枚と3枚の打ち込みがされていた。0.5mmのコアが貼りついており、半日かけボビンを傷つけず全て抜き取る。
次は端末加工してある箇所を取り外す。
巻線機にそのコイルを差し込む。髪の毛より細い線がワニスと樹脂材で固まり、かつ巻線のテンションが強く溝と化した線の中にめり込んでいる。特殊な揮発剤を滴下し、そうっとブラッシングしながら硬化したワニスを少しづつ溶かす。断線をさせないように神経を集中し、巻数カウンターで確認しながらほどいてゆく。レアーショート箇所は銅線が細っているので、特に気をつけながら解体する。この作業は状況にもよるが相当時間を要する。
ほどいた銅線の被膜を剥離し、マイクロノギスで線径を確認をする。しかし線が熱で細った部分は計測出来ない。
これら解体調査したデータを元に製作図面を作る。特性得られるか、再設計し検証をする。これでようやく新規生産に入ることが出来る。
写真上は解体前と解体後、そして写真下が再生したトランスである。新規生産中止で、仕様書がなく壊れたトランスしかない場合、この様な方法で再生します。
(協力:アテネ電機 http://www.atenecorp.com/)