markdadaoの日記

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千玄室氏 「美しき日本を次世代に」を読んで

写真は友人のO君と千玄室氏がオフタイムを楽しんでいるスナップ。
フィリピンのロータリー地区大会の際、RI会長代行で出席された際、O君が対応されたのが縁でプライベートなお付き合いをされている。千玄室氏の人柄は各人さまざまでしょうが、O君を通じての印象は素晴らしい紳士だと思います。
この見識あふれる内容は一読に値すると思い、あえて掲載しました。

 リーマン・ショック以来世界経済は豹変した。特にサブプライムローンでアメリカの銀行が破綻し、ドルやユーロがヨーロッパの金融情勢により下落。そんなことでいろいろな形で世界に影響を及ぼしている。昨年はわが国も大地震によって原発まであおりを受け大災害となった。

 なぜかくも悲劇が次々に起こるかを考えてみた。
まず第一は、この30年くらいの間に科学文明が驚異的に発展進歩し、人間がそれに頼りすぎてついていけない状態を作ってしまった。
第二は、人間が驕(おご)り高ぶり、地球という共通の場に住んでいながら勝手仕放題の行動で、天災とともに人災を起こさせることとなった。
第三に、各国の一部の資本家たちが自分のみの利益を考えて大きな投資を行い、資本家への富の一極集中が貧という対極を増やしている。もちろんこの投資が経済流通という意味からは経済力向上には一部役立っているが、自己のみの富に力をつけている。マルクスではないが、富と貧との格差が縮まってこそ国々が豊かになることは当然である。

 しかし、少なくとも資本主義国家ではどの国も資本家や大企業を大切にする。それにより国家経済の隆盛と国民総生産の向上につとめる。単純な経済観念で行政をすすめ、またそれに乗った国民にそのつけが今、廻(まわ)ってきている。大投資家がドルを、はたまた円やユーロをその時の状況によって買いあさり、高くしたり低くしたりマジックのように市場変動を起こしている。

 これらの一部大資産家・投資家たちのやりとりをある程度、規制で押さえられないものだろうか。世界共通の権利行使ができ、法律的にも認められる監視銀行的なものが、G8とかサミットとかで首脳が話し合えないものかと思う。

 経済力が落ちると衆目は文化に移される。人が得る知識は大切でその知識と知恵が生活文化に影響を及ぼすのだから、それぞれの国の文化を見つめ直しその良さを内外に発揮してこそ自己のリセットに役立つのであると思う。そして一歩前進という飛翔が生まれるのである。何かすべてのものをしっかりと見直すべき時期が今きているのではなかろうか。

 今年は辰年である。十二支の中で五番目で平成24年の国の運をみてみると「火天大有(かてんたいゆう)」ということで、天高く太陽が輝いて万物を照らし、自然の恩恵にあずかるとともに大きな志を世界に示すべきとのことである。

 昨年末からの大寒波により震災地および北国では豪雪で、被災者の方々は暖房設備も不便な中で冬を過ごさなければならぬ困難に見舞われている。寒の中で春に向けて力強く芽を出し耐えている草々、そして春一番に花を咲かす梅に私どもは心を移さなければならない。

 寒梅の詩がある。同志社の創立者・新島襄先生が作られたもので、旧邸にある茶室も「寒梅軒」と命名され今出川のキャンパスに移され保存されている。

 庭上一寒梅(ていじょうのいちかんばい) 笑侵風雪開(わらってふうせつをおかしてひらく)

 不争又不力(あらそわずまたつとめず) 自占百花魁(おのずからしむひゃっかのさきがけ)

 確かに人間はもっと自然と共にあらなければならない。今年はそうした意味で自然を大切に守り、美しき平和な日本の国土を次世代に継ぐよう努力しなければならないのである。