markdadaoの日記

真空管アンプ用トランス、スマホ用衝撃吸収フィルム、RC、政治経済、読後感想など

ギターアンプ用トランスの修理

FenderのHot Rod Deluxeの電源トランスの修理依頼があった。仕様書がなかったので、依頼主よりトランスの現品を送っていただいた。ケースが開いており、断線し使用不能状態であった。
入力電圧は日本仕様のAC100Vとの要求のみで、出力側の電圧、電流はわからない。やむ負えず、現品を乾燥機で温め、巻線機にセットし、少しづつ巻き戻してゆく。しかし銅線が細く、ワニスで固化しているため簡単に巻き戻すことが出来ない。更に断線しているため、正確な巻数がわからない。
出力側の線径と巻数は判明。3回路あり、真空管用のB電源、Bias電源とパイロットランプ等に使用する電源。ここまで解体するのに半日がかかる。
次に、推定出力電圧から入力巻数を設定する。ついでに磁束計算と占有率を計算してみる。ほぼ間違いがないことを確認してから、仕様を依頼主に報告。問題がなければ製作の指示を仰ぐ。すぐに入金がされ製作を始める。
巻線は紙ボビン、絶縁紙や銅線は新品を使用。リード線の色や線径は現品と同様とする。コア材は解体した現品とほぼ同じ日本のJISコアを使用する。その上に銅板のショートリングを巻く。合わせカバー(黒色の外部ケース)は解体した現品を使用。写真の通り再現し、特性検査を行う。その後ワニス処理をして納品する。
1台の為儲けは少ないが、ギターアンプを改良や製作するお客様に喜んでいただきたいとの気持ちで仕事を請け負う。メールや電話でお礼をいただき、メーカー冥理である。 トランス事業 - 変圧器・トランス・フィルムのアテネ電機
          左写真がafter、右写真がbefore